■ロトマハナの目撃を後押しするか? ~ マナポウリ・シー・サーペント
今回はマナポウリ・シー・サーペント (Manapouri sea serpent)。
ロトマハナ・シー・サーペント (Rotomahana sea serpent) と密接な関係があるものと信じられています。
マナポウリ・シー・サーペントは客船マナポウリ号の乗員によって目撃されたことによりこう呼ばれます。
マナポウリ・シー・サーペントはロトマハナ・シー・サーペントが新聞紙上を賑わせた後に報告されましたが、実は時系列的にはマナポウリ・シー・サーペントの目撃の方が1週間早いのです。
自分が見たものを信じられず、嘲笑されるのを恐れて目撃したことを黙っていたものの、ロトマハナ・シー・サーペントの目撃に勇気づけられ思い切って報告したことから、新聞紙上では前後が入れ替わったという感じです。
1891年7月24日の金曜日、ロトマハナ・シー・サーペントが目撃されたギズボーン北方のイーストケープで客船マナポウリ号に乗っていた乗客とサーベイヤー (船の積み荷の鑑定人) によってシーサーペントが目撃されました。
その目撃の代表としてサーベイヤーのアルフレッド・マシューズ氏がインタビューでこう答えています。
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「時折、頭部と体の一部を水上にかなりの高さまで持ち上げ、その姿勢のまま本当に奇妙な動きで体を回転させました。
その回転の最中、黒っぽい背中、白い腹部、かなりの長さの2本の人間の腕が折れたように見える付属肢が確認できました。
飛び上がっては大きな水しぶきを上げて着水するという動作を何度か繰り返しました。
頭部は平たく、船から半マイル (約800メートル) 程の距離でした」
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ロトマハナ・シー・サーペントほど詳しく観察はされていないものの、それでも動きや形状はある程度共通する部分もあります。
異なる船で複数の人物によって目撃され、その姿や動きもそれなりに似通っている、これは何か未知の巨大生物が棲息している確実な証拠では?
しかし、この後、思いもよらない方向へと話が進みます。
同年の8月19日、今度はブリガンティン船 (前方マストに横帆を持った帆船) のグリーナー号の乗員がまたもシーサーペントを目撃したのです。
目撃された地点はポートランド沖、約100キロメートルの地点でした。
目撃したのはグリーナー号の船長、マクリーン船長と他乗員たちです。
マクリーン船長も最初はシーサーペントと思ったといい、シーサーペントに近づくことを決断します。
そしてロトマハナ号、マナポウリ号とは比べ物にならないほどの至近距離、船から僅か30ヤード (約27メートル) まで近づいて観察することに成功しました。
するとそれはシーサーペントではなく、長さ40フィート (約12メートル)、周囲4フィート (1.2メートル) のねじれた大木で「水に浸かったヘビ」に非常に似ていたといいます。
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「片方の端は巨大な魚の頭部のような形状をしており、もう片側はクジラの尾ビレににていました。
樹皮はところどころ剥げておりまだら模様に見えました。
その巨木は2時間ほどの間、波間を浮いたり沈んだりを繰り返していました。
『シーサーペント』を目撃した人たちがいう (背中は黒く腹部は白い) ように、この特徴的な色合いの体は、樹皮があちこち剥げ落ちているという事実で容易に説明できるかもしれません。
また、折れ曲がった枝やギザギザの先端等、全体的なシルエットは、遠くから見ると巨大な爬虫類の頭部や尾、ヒレに感じたことでしょう」
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マクリーン船長はこれがラタの木 (ノーザンラタ / Metrosideros robusta) であり、マナポウリ・シー・サーペントとロトマハナ・シー・サーペントの正体と確信しました。
ノーザンラタはニュージーランド原産の樹木で80フィート (約24メートル) 以上の巨木に成長します。
マナポウリ・シー・サーペントとロトマハナ・シー・サーペント、それにグリーナー号が目撃したものがすべて同一だったのか、それは判断のしようがありません。
マクリーン船長が推測するように3つはすべてこのノーザンラタの流木が正体だったかもしれません。
うちいずれか2つの組み合わせが同じだったかもしれませんし、すべて違ったものだったかもしれません。
ただ、同時期 (7月24日~8月19日) に近い海域で、似たような形状の「生物 (うち1つは流木)」が3つの船で確認されたということだけは事実です。
ロトマハナ・シー・サーペント同様、既知生物の誤認であれば、ザトウクジラ (Megaptera novaeangliae) を挙げておきましょう。
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