■もうひとつのモケーレ・ムベンベ ~ ムビリントゥ (カポポ)
今回はムビリントゥ (Mbilintu)、アフリカ、ザンビア共和国に伝わるUMAでカポポ (kapopo) とも呼ばれます。
ムビリントゥはその姿が竜脚類系の恐竜に似ていることもあり、ザンビア共和国と北の国境で接するコンゴ共和国の有名なUMA、モケーレ・ムベンベの別称に過ぎないのではないか?という説もあります。
まあこればかりはいずれも捕獲されていない以上確かめようもないため、別種 (もしくは亜種) と考えましょう。
アフリカのUMAは同一のUMAに多くの呼び名があったり、今回のように同一のUMAを指しているのではないか?といった紛れのあるものが多いのには理由があります。
アフリカは多くの少数民族がおり、しかもそれぞれが異なる言語を話すのも珍しくありません。
アフリカといえばスワヒリ語を操る人が多いのでは?というイメージ通り、実際に2億人以上が操る最もポピュラーな言語です。
しかしハウサ語やヨルバ語を話す人も多く、また植民地の関係上、英語やフランス語、ポルトガル語といった西側諸国の言語を操る人々も少なくありません。
そして現在、少数民族の操る言語を含めると900もの言語がアフリカには溢れています。
当然、同じものを指すにも900種類の呼び方が存在することになり、ましてや未確認の動物であるUMAともなると本当に同じ生物を指しているのか判断ができず紛れが起こるのです。
モケーレ・ムベンベをはじめとするコンゴ共和国のUMAはリンガラ語が多いですが、この言語を話すのは主に中部アフリカの人々で1000万人ほどいます。
ちなみに以前にも触れましたが「猪木ボンバイエ」の "bomaye" はリンガラ語で "kill him (やっちまえ)" を意味します。
さて逸れに逸れました、ムビリントゥの話に入りましょう。
ムビリントゥは20世紀初頭に西側に伝わった謎の生物で、ドイツのビッグ・ゲーム・ハンターで冒険家のハンス・ションブルク (Hans Schomburgk) 氏や動物商人カール・ハーゲンベック (Carl Hagenbeck) 氏といった当時の著名人らが追い求めたUMAです。
彼らはアフリカの動物にかなり精通しており、当時としても恐竜の生き残りと考えた可能性は低いと思いますが、未知の巨大哺乳類・巨大爬虫類の可能性は検討したに違いありません。
ムビリントゥは当時ローデシア (現ジンバブエ共和国) 及びモザンビーク共和国の湖沼に棲息すると考えられた竜脚類系のUMAです。
牛7頭部の巨大な体とヘビのような長い首を持ち、その先端にある小さな頭部には角を有するといわれ、ゾウとドラゴンのハイブリッド的な姿と表現されました。
この頭部に角があることでコンゴ共和国やカメルーン共和国で目撃される同じく頭部に一本角を有する角竜系UMA、エメラ・ントゥカと同一視する説もあります。
また、ゾウ、サイ、カバを融合した哺乳類のキメラ的な動物とする説もありますが、こちらの場合はいずれにしても哺乳類であるわけでまだ現実感のあるものです。
興味深いのはこの動物を探し求めたハーゲンベック氏がムビリントゥを目撃したとする先住民族に聞き取り調査をしたところ、全体の印象は竜脚類に似るものの、彼らは陸上で脚を引きずるような動きをしていたということです。
これは脚を怪我していたという意味ではなく、その怪物の四肢がヒレ状であったことを意味しています。
つまりアザラシ等の鰭脚類が陸上に上がった時の動きであり、ムビリントゥが水陸両用ではあるものの、より水棲に適した生物であることが示唆されます。
生息域から外れるもののイレギュラーで南アフリカ共和国にミナミゾウアザラシ (Mirounga leonina) が迷うこともあり、アフリカではめったに見られない巨大なミナミゾウアザラシを沿岸部で目撃し誤認した可能性があるかもしれません。
但し、ザンビアの内陸まで遡上するとは考えにくくザンビア国内で目撃されるムビリントゥは未知の動物である可能性は残されます。
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