■仔馬なのか、それとも巨大ウナギなのか ~ バリーナヒンチ湖の怪物
今回はバリーナヒンチ湖の怪物 (Lough Ballynahinch monster)。
バリーナヒンチ湖 (バリナヒンチ湖) はアイルランド西部、コネマラ (Connemara) 地域のにある湖 (Lough) のひとつです。
コネマラにはまさに無数と言っていいほどの大小の湖があり、その多くでウォーター・ホース (海馬) であったりウマウナギと呼ばれる巨大ウナギの目撃や伝説があります。
バリーナヒンチにはウォーター・ホースとウマウナギの両方の目撃があります。
ウマとウナギ、両者は全く異なる姿をしていますが、実はどちらも同じ生物かもしれません。
ウナギは体さえ濡れていれば陸上でもかなりの距離を移動することができ、もともとウォーター・ホースの伝承のあるアイルランドということもあり、上陸した巨大ウナギはウォーター・ホースと誤認されたかもしれないからです。
と、今回はバリーナヒンチ湖の怪物を、より現実的に巨大ウナギとして見て行こうかと思います。(あくまでウォーター・ホースと比べれば現実的というだけではありますが)
最も有名なバリーナヒンチ湖のウマウナギの伝説は19世紀のものです。
(バリーナヒンチ城)
(image credit: Wikicommons)
バリーナヒンチ湖のほとりにはバリーナヒンチ城 (Ballynahinch Castle) という名のお城のような高級ホテルがありますが、これはお城に見立てて建造されたホテルではなく、17世紀に建造された本物のお城を改築しホテルとして利用されているものです。
伝説によれば、19世紀末 (1880年代)、バリーナヒンチ湖から海へと繋がるバリーナヒンチ川の橋げたに巨大なウナギが立ち往生していたといいます。(あまりの巨体に自らが川を堰き止めてしまった、なんて説もあります)
渇水による水位の低下によるものでウナギなら得意の陸上移動すればいいのに?なんて思うかもしれません。
しかしそうもいかなかったようです、なにせそのウナギの体長は30フィート (約9メートル)、あまりの巨体に水の浮力なしには身動きができなかったようなのです。
もちろんただ長いだけではなく、胴体はも太く、「ウマ」の体ぐらい太かったといわれています。
ウマウナギは2日間も橋げたの近くで立ち往生していたものの、ついには地元の住民たちによって槍で突かれ殺されてしまったといいます。
殺されたウマウナギはあまりの重さにそのまま放置されましたが、その後大雨が降り、死体は海へと流れ去ってしまったといいます。
なんで殺すんだよ!と思ってしまうと思いますが、所詮伝説は伝説であり、実は地元住民たちがウマウナギを殺す巨大な槍を作っている間 (実には鍛冶屋に頼み、突き刺した後に抜けないよう、返しの付いた刃先の槍を作ってもらっていたということです) に大雨で川は増水し、まんまと逃げきったというハッピーエンド (?) もあります。
是非後者であってほしいものです。
さて、正体についてですが、バリーナヒンチのウマウナギはあくまでウナギに似た細長い体型をしていたというだけで確実にウナギだったかどうかは定かではありません。
9メートルはウナギというか淡水魚にしてはあまりに大き過ぎ、話半分でも4~5メートル、これでもウナギとしてはちょっと厳しいです。
(バルチックチョウザメ)
(image credit: Wikicommons)
ですがチョウザメであればその可能性はちょこっとあります。
バルチックチョウザメ (Acipenser sturio) であれば6メートルが期待でき、現在はほとんど棲息していないようですがかつてはアイルランドの海岸沿いでも見られたといいますから。
バリーナヒンチ湖の怪物の正体として個人的にはバルチックチョウザメを最有力としておきましょうかね。
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