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2025年5月18日日曜日

蒸気船マピアの乗組員が見たシーサーペント ~ マピア・サーペント


■蒸気船マピアの乗組員が見たシーサーペント ~ マピア・サーペント

今回はアラビア近海で目撃されたシーサーペント、マピア・シーサーペント (Mapia sea serpent) です。

マピア・サーペントは1923年2月11日、午後4時15分、アラビア海のソコトラ島、東数マイルの地点を運航していたオランダの蒸気船、マピア号 (Steamer Mapia) の乗組員によって目撃されました。

目撃したのはこの蒸気船に乗船していたH. J. ファン・ホウフィス (H. J. Van Houhuys) 4級航海士とA. デ・ワイルド (A. de Wild) 2級航海士のふたり。

ホウフィス4級航海士はこの時の遭遇を航海日誌に以下のように残しています。

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「海面上で激しい衝撃が起きた時、わたしはA. デ・ワイルド2級航海士と右舷甲板におり、その衝撃音にたいそう度肝を抜かれた。

衝撃音は反対側の左舷方向から聞こえてきたため、わたしたちは何が起こったのか、そしてどこで起こったのか即座には判断することはできなかった。

左舷へ急いで向かうと、再び激しい水しぶきと共に水を打つ激しい音が響き渡り (イルカが水面へ飛び出す音よりも遥かに大きな音)、船から30メートルほど離れた地点でとてつもなく巨大な生物が水中に没していく姿が確認できた。

怪物の体は円筒形で直径は1.5メートルほど、水面から約2.5メートルほど飛び出ており、体の半分は薄い灰色、残りの半分は茶色だった」

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ほんの一瞬の出来事だったといい、怪物の詳しい身体的な特徴は描写されていません。

分かっているのは水上から見えていた部分 (尾部?) が円筒形であり直径が1.5メートルもあったことと、体の半分が灰色で半分が茶色だったということ。

多くの海洋生物は背部が濃く腹部が薄い色をしているため、背中が薄い茶色、腹部が灰色の生物である可能性が高そうです。

(ザトウクジラのブリーチング)
(image credit: Wikicommons)

これ以上の情報が過去にあったのかもしれませんが、これだけの情報が限られているにも関わらず、マピア・サーペントは非常に細長い体型で体の両サイドに多くのヒレがあるシーサーペントとして描かれる傾向があります。

この話を聞いてUMAファンならすぐにお気付きでしょう、そう、この少々風変わりなシルエットはベトナム近海で目撃されたコン・リットと似ています。

ちなみにコン・リットという単語はベトナム語 (con rết) で「ムカデ」を意味し、ムカデの脚のように体の両サイドにたくさんのヒレを持つことに由来します。

ホウフィス4級航海士の証言だけでコン・リットを思い浮かべる人はなかなかいないと思いますが、そうはいってもマピア・シーサーペントは歴史的にそのように分類されているため、ここでも基本的にはコン・リット・タイプのUMAと考えておきましょう。

似た動物が歴史上発見されていないため既知動物にその正体を求めるのは困難ではありますが、クジラの頭頂部が水面から出ているのを誤認した可能性は僅かばかりあるかもしれません。

激しい水を打つ音もクジラのブリーチング後なら十分説明できます。

ちなみに未確認動物学者ベルナール・ユーヴェルマンス (Bernard Heuvelmans) 博士はコン・リットタイプのシーサーペントの正体として「(ムカデのような) 節足動物が巨大化したもの」という説は一蹴しており、「装甲を纏 (まと) ったクジラ説」を提唱しています。


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