このブログを検索

2025年1月26日日曜日

ロシアで発見された装甲をもつイモムシ ~ アーマード・キャタピラー


■装甲をもつイモムシ ~ アーマード・キャタピラー

ロシア連邦のひとつ、バシコルトスタン共和国オレーシャ (Olesja) 氏によって撮影された背面が装甲で覆われた謎の生物、ラシアン・アーマード・ワーム (Russian armored worm)。

(撮影されたラシアン・アーマード・ワーム)
(image credit by Olesja)

体長は約5センチメートル、小さな池の近くの野原で発見されました。

その動きはイモムシに近くぎくしゃくとしてあまりスムーズな動きではなかったといいます。

ひっくり返すと腹部は背部よりも色が濃く、また背部のように装甲で覆われておらずとても滑らか、しかし足に該当する器官は見つけられませんでした。

前進する方向に頭部があるはずですが、目も確認できず頭部に該当する部分も不明瞭、というかどこまでが頭部なのかも判別できません。

こういった特徴から彼女はこれ自体、単体の生物ではなく、もしかすると自切したトカゲの尾ではないかと考えました。

そこで小枝でつついてみると動きは止まります。

(image credit by Olesja)

自切したトカゲの尾であれば当然ですが警戒などしませんから (むしろ動き続ける方が天敵の注意を惹きつけるのに役立ちます) 触れられても動きを止めることはありません。

それにそもそも規則正しく前進するようなことはありません。

動きを止めて1分ほどすると警戒を解きまたぎこちなく前進を開始、これは決して自切したトカゲの尾ではなく単体の生物であると彼女も確信しました。

しかしオレーシャさんはこれが一体なんなのか皆目見当がつかずSNSにアップし、特定してもらおうとみんなの意見を聞くことにしました。

-----

これは2010年7月に撮影されたものですが、この時期はスマートフォンの普及が始まったころ、現在ほど手軽に動画を撮れる時代ではありません。

残念ながらオレーシャさんはこの時動画で撮影する手段がなかったため静止画像のみ。

予想以上に反響がありましたが、静止画像だけということに加えやや閉鎖的なロシア連邦からのニュース、そういったこともあり疑念を持たれフェイクではないか?と疑う人もいました。

また一定数はエイリアン (地球外生命体) だとか茶化しましたがそこまで奇妙な生物ではありません。

とてもホタルの幼虫に似ていますが、ホタルの幼虫は割と足がはっきりしておりおそらく違います。

それに5センチはホタルの幼虫にしては大き過ぎます。

(サンヨウベニボタル)

サンヨウベニボタルなんかは最大80ミリに達するのですが、装甲も持つもののあまりに姿が独特過ぎてこの生物とは似ていません。

結論から言うともちろんUMAなんかではなく、おそらくミズアブの幼虫のようです。

(ミズアブの幼虫、種類不明)

ミズアブは日本にも生息していますが、日本に生息する種の幼虫はこれとはあまり似ていません。

しかし海外のミズアブの幼虫にはラシアン・アーマード・ワームとかなり似ているものがおり、おそらくミズアブの仲間で間違いないのではないかといわれています。

ところでミズアブの一種、アメリカミズアブ (Hermetia illucens)、ミズバエはハエ科であるためアメリカでは「ハエ」と認識されていますが、イエバエのように人間の食物に興味がないため煩わしさはなく、それどころかかなり有用な益虫と考えられています。

幼虫は家庭用生ごみや農業廃棄物等の有機物分解者として有能なだけでなく、幼虫・蛹共に栄養価の高さから動物用 (特に爬虫類系のペット) の飼料としても利用されておりフェニックス・ワーム (Phoenix Worm) という名で流通しています (登録商標名)。

人間にはどうでしょう?

現在、物珍しさ、そして来るべき未来の食糧難の救世主と目され、人気・需要が急上昇中の昆虫食、特にフェニックス・ワームの栄養価はミルワーム等と比較してもかなり高いといわれています。

しかし、現時点では人間が食べるのに適した生産・処理は確立されておらず昆虫食としては出回ってはいないようです。

実際に食したオーストリア人デザイナー、カタリーナ・ウンゲル (Katharina Unger) 氏の話によれば、

「調理すると茹でたジャガイモに似た匂いがし、表面は少し硬めですが中は肉のように柔らかな食感です。

味はナッツに似ていますが、少し肉っぽくもあります」

だそうです。







0 件のコメント:

コメントを投稿