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2025年4月21日月曜日

偶然に発見されたUMA ~ ドッグシム


■偶然に発見されたUMA ~ ドッグシム

今回はドッグシム (Dogxim)。

ドッグシムは厳密にはUMAではありません。

UMAは目撃等はあるものの実在が確認されていない動物ですが、ドッグシムはそういった存在する噂もなくいきなり捕獲された動物だからです。(後述しますが、公的に噂にはなっていなかったものの目撃自体はありました)

なら新種か?というと新種でもないのです。

???

まあニュースになったので知っている人も少なくないでしょうが、とても奇妙な生き物なのです。

ポルトガル語でグラッショーハ (Graxorra) と呼ばれるこの謎の生物、ドッグシムはブラジルの公道で車にはねられ道路に横たわっているところを発見され、リオグランデドスル連邦大学獣医病院へ搬送されたことでその存在が知られることになりました。

毛色はほぼ真っ黒、相対的に非常に大きく尖った耳を持ち、全体的な印象は中型犬、といった感じで女の子であることが判明しました。

介護の甲斐ありドッグシムは完全に回復しました。

外見に若干の違和感はもたれていたものの、ただの野犬であろうと思われていましたが、回復後の彼女の行動は外見以上に奇妙なものでした。

(実際のドッグシム)
(image credit: Wikicommons)

見た目も犬に似ており、実際犬のように吠えるもののドッグフードは全く受け付けず、ネズミを捕って食べるのを好みました。

しかし野犬によくあるような人間に対する攻撃性は皆無であり、むしろ内向的な性質で、医療スタッフたちにもすぐに懐くという不思議な性質を持っていました。

これだけのことであれば野犬のため飼い犬のような食性ではないのだろう、とか、もしかすると飼い犬が脱走し短期間の野生生活で中途半端 (野犬と飼い犬の中間的) な性格になったのだろう、等々、それなりに理由付けして片付けられたでしょう。

しかし驚いたのは彼女は犬でありながら木登りを好んだことです。

ここに至り、スタッフたちは明らかにイヌとしておかしいと思い、この生物を遺伝子的に調べること決断しました。

(パンパスギツネ)
(image credit: Wikicommons)

するとドッグシムは犬とパンパスギツネ (Lycalopex gymnocercus) のハイブリッド個体であることが判明しました。

ドッグシムの染色体は38対76本に対し、イヌは39対78本、パンパスギツネは37対74本とその中間で、同地域に生息する同じ染色体数のイヌ科動物はタテガミオオカミ (Chrysocyon brachyurus) がいるものの、姿も行動もあまりに違い過ぎるためタテガミオオカミの可能性は否定されています。

ちなみにドッグシムという名はドッグとパンパスギツネのポルトガル名、グライシャイム (Graxaim) に由来するかばん語 (合成語) です。


さて、この生物、前述した通り、実は捕獲以前に目撃情報がありました。

生物学者ハーバート・ハッセー・ジュニア (Herbert Hasse Junior) 氏はドッグシムが捕獲される2年前に同地区で2匹の奇妙なイヌ科の生物を目撃しており、おそらくこの捕獲されたドッグシムはそのうちの一匹ではないかと推測しています。

さて、この奇跡の生物ドッグシム、発見されたのは (2匹目撃されたものの) 1匹だけであり、しかもおそらく親は同じ、もともと繁殖能力を持つかどうかも分かりませんし、このドッグシムが子孫を残す可能性はほぼありえません。

ですがまあイヌとパンパスギツネのハイブリッドが誕生するとは思われていなかっただけに一代限りといえど非常に貴重な存在です。

幸い事故の後遺症もなく、極めて健康的でしたが、2023年2月前後に亡くなったと言われており、正確な死亡時期や死因等も公表されておらず、ブラジルの環境特別省、通称SEMA (Secretaria do Meio Ambiente) はこの死に疑念を抱いており調査が入っています。



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