■カニバリズム (人肉嗜食) の世界へようこそ ~ ウェンディゴ
今回は北米大陸 (カナダ南部・アメリカ北部) に伝わるUMA、ウェンディゴ (Wendigo / Wiindigoo) です。
一般的には人喰いのヒューマノイド系UMA、もしくは精霊 (悪霊) として描かれます。
まあUMAの世界で (事実確認は取れないにせよ) 人喰いは決して珍しいことではありませんが、ウェンディゴはガチの人喰いであり、しかもオカルトとリアルの境界線上の存在です。
北米大陸北方の先住民族、アルゴンキン語族 (クリー族、オジブワ族、ソルト―族等々) の間には彼らだけが罹患 (りかん) する「ウェンディゴ症候群 (Wendigo psychosis)」と呼ばれる精神疾患があります (実在します)。
カニバリズム (人肉嗜食) の衝動を抑えられなくなる精神疾患で、多くは飢餓が引き金となりカ「ニバリズム以外でこの飢餓を解決できない」と判断する (思い込む) と発症するといわれています。
彼ら先住民族にとって「カニバリズム = ウェンディゴ」であり、ウェンディゴの存在を知る彼らだけが罹る病です。
この疾患は自分がウェンディゴに取り憑かれ、自らがウェンディゴに変貌しようとしている過程である、と思い込むのが特徴です。
適切な栄養を摂らせることにより症状の緩和が見込めるものの、歴史的にみた場合、重篤な患者は (殺人を未然に防ぐため) 部族によって処刑されたり、まだウェンディゴに変貌途中であると錯覚した患者の中には自ら命を絶つ者もいたといわれています。
このように、一部の部族たちにとってウェンディゴはUMAや精霊以上の存在であり、オカルトとリアルの狭間に位置していることが分かるでしょう。
さて、UMAのウェンディゴの話をしましょう。
UMA (もしくは精霊) のウェンディゴと精神疾患で語られるウェンディゴは当然のようにクロスオーバーしており、UMAのウェンディゴは人間をウェンディゴに変える能力があると信じられています (それ故、取り憑かれたと錯覚するのです)。
背の高さはふつうの人間サイズから15フィート (約4.5メートル) まで様々ですが基本的にガリガリに痩せた屍 (しかばね) のような見た目というのが基本のようです。
但しUMAとして描かれるウェンディゴはビッグフットのような毛むくじゃらの獣人であり、多くの場合、シカのような角を生やしている生物として認識されているのが一般的です。
性質こそ違えど、容姿的には北米で目撃されるディア―マン (鹿男) と似ています。
ちなみにウェンディゴの本来の姿である「屍タイプ」がガリガリに痩せているのは理由があります。
彼らは人を襲って食べるも、食べた分だけ体が成長するため太ることができないのです。
それにより彼らは常に空腹です。
故にカニバリズムの欲求を抑えることができず、常に次なる犠牲者を探し森を彷徨い歩くといわれています。
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