■絶滅寸前!残り僅か50頭 ~ マルシカヒグマ
イエティ (ヒマラヤの雪男, Yeti) はクマの誤認だとする説があります。
そのクマにもいくつか候補がありますが、チベットの山岳地帯に棲息するウマグマ (Ursus arctos pruinosus) ことチベットヒグマはその中でも有力視されているもののひとつです。
(イエティ)
全然話は逸れますが、ヒグマって姿かたちはどれもよく似ていますが、その毛色で呼び分けが多いですよね。
「白」はホッキョクグマ (Ursus maritimus) やシロアメリカグマ (Ursus americanus kermodei)、「黒」はアメリカグマ (Ursus americanus) やツキノワグマ (Ursus thibetanus)、「灰色」はハイイログマ (Ursus arctos horribilis)、「栗色 (もしくはシナモン色)」はクリイロアメリカグマ (Ursus americanus cinnamomum)、「赤」はヒマラヤグマ (Himalayan red bear / Ursus arctos isabellinus)、その他のヒグマは「茶色」ですかね。
(シロアメリカグマの親子)
(image credit by Wikicommons)
チベットヒグマは英名が "Tibetan brown bear" なんでまあ「茶色」なんですが、実は "Tibetan blue bear"、つまりチベットアオグマとも呼ばれ、「青色」なんですね。
ちなみにシロアメリカグマとクリイロアメリカグマは学名を見ればわかる通りアメリカグマの亜種です。
ま、シロクマ・シロアメリカグマは別として、他のクマたちはいわれるほど毛色に差はありませんけどね。
イエティの有力候補、このチベットヒグマは動物園等で見ることはできるものの、野生下では滅多に目撃されることがないといわれており、それ故その希少性からUMA (イエティ) として誤認されていたとしても不思議ではありません。
(ユーラシアヒグマ)
(image credit by Wikicommons)
さて今回はそのチベットヒグマよりも激烈に希少なヒグマ、イタリアに生息するマルシカヒグマ (Marsican brown bear / Ursus arctos arctos) です。
ヨーロッパはあまりクマのイメージがありませんが、そんなことはなくふつうにヒグマが棲息しています。
但し、ヨーロッパ全体の60%がルーマニアに集中して棲息しており、他の国の生息数はそれほどで多くはありません。
マルシカヒグマはヒグマ (ユーラシアヒグマ) の亜種 (亜種ではなく単に隔離された個体群との見方もあります) で、マルシカヒグマという名はイタリアの都市、ラクイラのマルシカ地域に由来します。
このマルシカヒグマはオスの平均体重が220キロ、メスで140キロ、気性が穏和で知られ人間を見ても襲わないといいます。
そういわれても生身では怖くて近づけませんけどね。
このマルシカヒグマの生息数は現在かなりクリティカルな状況で、アブルッツォ・ラーツィオ・エ・モリーゼ国立公園 (Abruzzo, Lazio and Molise National Park) に僅か40~60頭を残すのみとなっています。
しかもそのうち繁殖可能なメスは10数頭と推測されており相当厳しい状況におかれています。
イタリアは最近になってマルシカヒグマの保護を本気ですると宣言したようですがここまで数を減らしてしまうと近親交配等で多様性が失われる恐れがあり、環境の変化にも対応できなくなってしまうかもしれません。
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