■魚とワニにハイブリッドＵＭＡ ～ ジンバブエ・フィッシュダイル
今回はジンバブエ・フィッシュダイル (Zimbabwe Fishdile)。
これはハイブリッド系ＵＭＡではあるものの、冷静に考えれば比較的パラノーマル感は低く、それなりに実在する可能性もありなかなか興味深い生物です。
名前の通りジンバブエ共和国で目撃された生物であり、フィッシュダイルはフィッシュ (fish) とクロコダイル (crocodile) を掛け合わせたかばん語、つまり魚とワニのハイブリッド系ＵＭＡというわけです。
目撃されたのは２０２４年４月、ニャラザイ・サチザ (Nyaradzai Sachidza) さんなる女性が買い物に出かけ、その帰り際、湖畔近くを通った際にフィッシュダイルに襲われそうになったといいます。
前述の通り、その生物は魚とワニのハイブリッド的な生物であったといい、それは決して自分の幻覚ではなく、実際に彼女の目で確認した、と証言しています。
「襲われる直前、気配を感じました。
ずっとなにかに監視されている、そんな感覚がありました。
その奇妙な感覚は実際に怪物を見ることよりも恐怖を感じるものです。
そして怪物が現れ、私は近くにいた漁師たちに向かい大声で助けを求めました」
この生物を検証する前に、彼女のバックグラウンドに軽く触れた方がいいかもしれません。
彼女の証言を信じれば、フィッシュダイルの目撃以前にかなり不幸が続いているようで、２０２１年、彼女の夫はワニに襲われ亡くなり、同年、子供がヒヒに襲われ背中に大怪我を負い、２０２３年、今度は小舟に乗っていた義父がカバに襲われ亡くなっています。
彼女の夫を襲ったワニはおそらくナイルワニ (Crocodylus niloticus) であり、その地域ではマチェニというニックネームで呼ばれ、殺人ワニとして有名だったそうで、合計２５人がマチェニの襲撃で命を落としているといいます。
(ナイルワニ)
(image credit: Wikicommons)
日常生活でワニやカバによって命を落とすというのは、日本では想像だにできませんね。
立て続けに家族や親族が野生動物に襲われていることから、精神的に不安定になっていたであろうことは想像に難くなく、必要以上に野生動物に対し警戒、怖れを抱いていた可能性があります。
さて、そんな精神状態でのフィッシュダイルとの遭遇、彼女の言葉を信じ幻覚等ではなかったと仮定して考えてみましょう。
やはり一番考えられるのはアフリカ大陸最大のクロコダイルである前出のナイルワニ。
３００人以上を殺したと言われる伝説の殺人ナイルワニ、ギュスターブの名を出さずとも、アフリカ大陸で目撃される爬虫類系ＵＭＡの正体として筆頭候補です。
度重なる不幸から野生動物に対し疑心暗鬼になりすぎて、現実に目にしたその姿が「歪曲」され、新たな生物を「創造」してしまった可能性があります。
(二列に並んだ歯列が特徴のアリゲーターガーの頭部)
(image credit: Wikicommons)
次にやはり魚とワニのハイブリッドといえばアリゲーターガー (Atractosteus spatula) が思い浮かびます。
まさに頭部はワニ (アリゲーター) そのものであり、南北アメリカ大陸にしか生息しないガーの仲間を、しかもアリゲーターガーを目撃しようものなら魚とワニのハイブリッド生物を目撃したと証言しても全く不思議ではありません。
但し、上述した通りアフリカにガーの仲間は一切生息しておらず、そこが一番の問題です。
２０２４年という最近の出来事でもあり、アフリカにも多くの外来種がペット等で持ち込まれている可能性があり、遺棄されたものを目撃した、という可能性はあるかもしれません。
もうひとつ魚類を候補として挙げるとすればムベンガことゴライアス・タイガーフィッシュ (Hydrocynus goliath) でしょうか。
アリゲーターガーと異なり特に吻が長いわけではないためクロコダイルに見える可能性は低めですが、人間視点 (感覚) からその「凶悪」と感じざるを得ない頭部の風貌はアフリカで最も危険な水生生物であるナイルワニを連想させるかもしれません。
彼女が言う「襲われた」状況の詳細が分からないため、上記生物のいずれが有力かは判断できません。
湖畔を歩いているときに襲われたのであれば上に挙げたものの中ではナイルワニでしょうし、浅瀬をちょっと歩いていた (つまり水の中に入っていた) のであれば上記すべてが候補になりえます。
但し、最初に彼女の幻覚ではないことを前提にフィッシュダイルの話をしましたが、彼女と彼女の家族の話を聞く限りかなり精神的に不安定になっているようであり、幻覚説の可能性は否定できない感じはします。
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