2020年7月8日水曜日

卵を産む1メートルの巨大モグラ ~ ミユビハリモグラ

(image credit by Taronga Zoo Sydney (YouTube))

■卵を産む1メートルの巨大モグラ ~ ミユビハリモグラ

「最大のモグラ知ってます?」

「南アフリカ共和国固有種のオオキンモグラ (Chrysospalax trevelyani) の23.5センチ、500グラム、ロシアデスマン (Desmana moschata) の21センチ、520グラム、ここらあたりでしょ」

「ブブーッ。いやいや、そんなん話になりませんて、1メートルのモグラがいるんですって」

「いるわけねーだろ、それUMAだろ?UMAと既知種比べんな」

「UMAじゃなくてほんといるんですって先輩」

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今回はミユビハリモグラ (Zaglossus) です。

和名に「モグラ」と付いているほどで、知らなければ「未発見の巨大なモグラに違いない」とUMA認定されてしまいそうな強烈なルックスです。

ミユビハリモグラカモノハシ (Ornithorhynchus anatinus) と同じ単孔類 (たんこうるい) であり、まったくモグラとは類縁関係にありませんが、その姿はまさに巨大なモグラを彷彿させます。

(ミユビハリモグラの剥製)
(image credit by Anagoria)

単孔類なのでカモノハシと同様、哺乳類でありながら卵生という特徴を持ちます。

ハリモグラ科はハリモグラ属ミユビハリモグラ属からなり、ハリモグラ属はニューギニアとオーストラリアに、ミユビハリモグラ属はすべてニューギニアに生息します。

ハリモグラとミユビハリモグラはそれぞれ英語で「short-beaked echidna (短いクチバシのハリモグラ)」「long-beaked echidna (長いクチバシのハリモグラ)」といい、ミユビハリモグラはハリモグラより相対的に吻 (ふん) が長いのが特徴です。

いかにもアリやシロアリを食べそうな細長い吻をしていますが、アリ・シロアリを専門に食べるのはハリモグラで、ミユビハリモグラもアリ・シロアリも食べるものの主食はミミズです。

ミユビハリモグラにはザグロスス・ブルイジュニ (Zaglossus bruijni), ザグロスス・バルトニ (Zaglossus bartoni), ザグロスス・アッテンボロウギ (Zaglossus attenboroughi) の3種が知られています。

BBCの動植物系ドキュメンタリーでおなじみのデイビッド・アッテンボロー (David Attenborough) 氏に献名したザグロスス・アッテンボロウギは3種の中で一番小柄で、他2種はいずれも大きいですがザグロスス・バルトニは和名 (三指ハリモグラ) に反し前肢に5本、後肢に4本の爪を持つことで区別できます。

ハリモグラとミユビハリモグラはシルエットこそ似ていますが、ミユビハリモグラのほうがかなり大柄になり大きいものでは体長70センチ、体重10キロぐらい、最大個体ともなると100センチ、16キロにもなるとか。

寿命も長く飼育下であれば30年の記録があります。

ぬいぐるみ然としたブヨブヨの体に、まるで体から突然クチバシだけが飛び出てきたような珍妙な姿。

ただしこの愛らしい姿をいつまで見ることができるのやら、、、

生息地の開発により数が激減している上、地元では伝統的な珍味として食されており非常に危機的な生息数にあるといいます。

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