■リアル・ドラゴン・ベイビー ~ オルム(ホライモリ)
今回はオルム(Proteus anguinus / olm)。
かつてヨーロッパではドラゴンの幼生(Dragon larva)と考えられた生物です。
英名はケイブ・サラマンダー(Cave salamander)、和名はホライモリといい、その名の通り洞窟に生息する両生類です。
かつてドラゴンは地球の地下深くに生息していると信じられていた時代、大雨の後に洞窟から流れ出したオルムは、その存在を裏付ける「証拠」として扱われることもありました。
― ドラゴンを思わせる異様な姿 ―
(オルム)
体型は、同じ両生類のメキシコサラマンダー/メキシコサンショウウオ(Ambystoma mexicanum / 日本ではウーパールーパーとして有名)とサイレンの中間的な姿をしていますが、頭部が非常に長いことから「ドラゴン」を彷彿とさせます。
オルムはヨーロッパのアドリア海沿岸、ディナル・アルプス山脈周辺のごく限られた洞窟にのみ生息する希少種です。
体長は30センチ程度、ややピンクがかった白い体色ですが、環境によっては黒っぽい個体も存在します。
― 暗黒に適応した異形の感覚器 ―
暗黒の洞窟生活に特化しており、成体は目が退化して皮膚の下に埋もれてしまいます。
しかし完全に光を失ったわけではなく、皮膚全体に存在する受容体によって光を感知し、明るさから逃れるように行動します。
さらに嗅覚や聴覚に優れ、磁場や微弱な生体電流を感知する能力も持つとされ、視覚に頼らない独自の知覚世界を築いています。
また、幼体の特徴である外エラを残したまま一生を水中で過ごす「幼形成熟(ネオテニー)」の性質も持っています。
― 時間の流れから外れた生命 ―
洞窟内の水温は10~12度程度でほぼ一定に保たれており、この安定した低温環境に適応した結果、オルムの代謝は極めて低くなっています。
その寿命は平均で約68年、最大では100年に達するとされ、同サイズの他の両生類と比較しても3倍以上という異常な長寿を誇ります。
記録では約2569日――およそ7年間、ほとんど同じ場所から動かなかった個体も確認されており、その姿は「生きているのか判別できない」とすら言われました。
さらに10年近い絶食にも耐えることが可能であり、まさにエネルギー消費を極限まで削ぎ落とした生存戦略といえます。
また年齢を重ねても死亡率がほとんど上昇しない「無視できる老化」の性質を持つとも考えられており、その時間感覚は我々の常識から大きく逸脱しています。
― 繁殖すら極端に遅い生物 ―
その一方で、繁殖に関しては極端に効率が悪い側面を持ちます。
性成熟には約15年を要し、野生下では繁殖の機会は約12.5年に一度とされています。
そのため生涯での繁殖回数はごく限られたものとなり、環境変化の影響を強く受けやすい生態となっています。
寿命が長く飢餓にも強いという特性を持ちながらも、こうした繁殖の制約と環境への脆弱さから、オルムは絶滅が危惧される生物のひとつです。
(参照サイト)
The Olm
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