■地震直後に地面から無数の「頭髪」が! ~ クエイク・ヘア― (クエイク・ヘアーズ)
"地震発生直後、所かまわず、つまり市場、道路、畑、たとえどんなに固い場所であっても、人間の髪の毛のようなものが地面から自然発生的に伸びてきた。
その毛はかなり長く、地面から垂直に、そして地面にしっかりと貼り付いている。
毛に火をつけると、人間の髪の毛のように収縮し、焦げ臭い独特の臭いも似ており、本当に人間の髪の毛ではないかと信じてしまうほどだ。
地震が発生している間、この毛は瞬く間に地面から出現したのだ。
チャンティブン川が波立ち、泡で水面が覆われ、川は真っ白になってしまった。
人間の髪の毛のようなこの物質は、何らかの電気的な作用により生成されたものと考えられる"
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これは1848年5月13日にタイ東部を襲った地震について、アメリカの老舗科学週刊誌 (現在は月刊紙)、サイエンティフィック・アメリカンに掲載された記事です。
サイエンティフィック・アメリカンは1845年創刊の科学雑誌で当時も現在ほどしっかりとした科学理論に基づいた記事を載せていたかは定かではありませんが、少なくともオカルト系のネタを載せている情報誌ではありません。
この地震自体、特に史実に残るような大きなものでなかったからか詳しい情報は分かりませんし、チャンティブン川についても同様です。
この謎の毛、「クエイク・ヘア」も詳しいことは分かりませんが、毛を燃やした時の描写を読んだ限り、植物を燃やした時とは異なる印象を受けます。
髪の毛のように縮れたり、髪の毛のようなたんぱく質が燃えるときの独特の臭いを発した、という点は見た目こそただの毛のようなものであっても、生物、もしくは生物の体の一部なのではないか、と思わせます。
UMA的に無理矢理こじつければ、髪の毛のような細長い生物であるとか、地中に潜む未知の生物の触手とも捉えることができるかもしれません。
クエイク・ヘア自体、このタイの地震のものが最も有名と思われますが、この地震以外でも同様の現象は観察されたことが何度かあるといいます。(そのほとんどがアジア)
宣教師ダニエル・ジェローム・マクゴーワン氏は世界中の地震に関する記事を集めている際、中国版のクエイク・ヘアと思われる記事を中国の新聞から見つけ出します。
その地震は1878年に起き、発生はお昼ごろ、揺れは大きく数分ほど続きましたが人的な被害はそれほどでもなかったといいます。
しかし2日後、その地震の余震と思われるものが発生、すると長さ3インチ (約7.5センチメートル) 程の銀色に近い人間の白髪に似た毛が地面から無数に生えてきたといいます。
マクゴーワン氏はありとあらゆる地震の記事を2000年分ほど収集したといいますが、その書物は火事により現在はすべて失われてしまいました。
しかし、彼の研究によればクエイク・ヘア現象が起きる地域は地理的に谷底が多かったということです。
さて、そんな至る所にボウボウと生えてくるクエイク・ヘアであるなら、サンプルぐらい簡単に採取できるだろうし、少しぐらいは保存されているだろう、というツッコミもあると思います。
(チャボトウジュロの一種)
(image credit: Wikicommons)
で、実際のところ、サンプルも少しは存在する (した) ようです。
分析された結果ではチャボトウジュロ (チャメロップス) の一種 (Chamaerops fortunei) の繊維であることが確認されたものもあります。
但し、残念なことにタイの地震のクエイク・ヘアのサンプルは残っていないようです。
まぁ今から200年近くも前の地震ですし、それも仕方のないことかもしれませんね。
UMAなのか、植物なのか、それとも全くのオカルトなのか、地震が発生しないとみられない奇妙な生命体クエイク・ヘア。
大地震が起こった後にクエイク・ヘア探しをする、な〜んて余裕はとてもありませんが、それほどでもない地震であったら、地面に注意を向けてみるのもいいかも?しれません。
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