■宣教師が目撃したユニコーン ~ アバダ
今回はアバダ (Abada)。
17世紀と随分昔に中部アフリカの現アンゴラ共和国 (当時はポルトガル領アンゴラ) で目撃されたUMAです。
目撃したのはイタリア人宣教師、ジョバンニ・アントニオ・カヴァッツィで、アバダはシカに似た頭部を持ち、額と吻部にそれぞれ1本ずつ、合計2本の角を持つのが特徴です。
また、体はとても大きく、通常の馬よりも大きかったといいます。
彼が見たものは一体何だったのでしょう?
カヴァッツィは真面目で信仰心が強く、当時のアンゴラの文化を知る上で貴重な文章を遺しておりデタラメを言っている可能性は低いと思われます。
但し、彼は信仰心を除けば生物学も含め他の学問にはそれほど精通していなかったようで、その点については留意する必要があります。
彼の証言からアバダの角の配置はサイ (クロサイ・シロサイ) とほぼ一致しており、実際にアバダの正体の最有力候補に考えられています。
大きさ的にもウマを凌駕しており、この点に関しても候補として申し分ないことは確かです。
但し、カヴァッツィはアバダを「シカに似た頭部」と表現していることもあり、アバダはサイというよりはユニコーン的な姿で描かれることが多いUMAです。
現在伝えられる、というか一般的に浸透しているユニコーンは「額から一本の角を生やしたウマ (に似た生物)」ですが、中世に描かれたユニコーンの中にはサイそのものも存在し、また「ユニコーンの角’として保存されていたものも実はイッカクの牙だったりします。
(オリックス)
(image credit: Wikicommons)
まあこういった事実も考えるとアバダの正体はますますサイが有力となりますが、サイに「シカ」的な特徴はほぼ皆無であり、サイを有力候補としながらも、個人的にはオリックス (Oryx gazella) の可能性を推したいと思います。
オリックスは非常に長く優美な角を有しており、気品あふれるその姿は伝説の動物、ユニコーンを想起させたかもしれません。
オリックスはアフリカ南西部に棲息しており、現在アンゴラには生息していません。
しかし、かつてはアンゴラにも生息しており、アバダの目撃が17世紀ということを考えると、生息地的にも全く問題ありません。
但し、オリックスの角は2本であり、またユニコーンのように体の前方に向かってではなく、後方に向かって伸びています。(ユニコーンのバリエーションには後方に角が伸びているものも存在します)
角の伸びる方向はどうしようもありませんが、先天的な遺伝子の問題により融合して1本になっていたり、もしくは元から1本、しかも頭頂部中央付近から生えていた個体であればアバダのようになるかもしれません。
実際に2本の角が融合して1本角の鹿も存在しますし。
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