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2026年1月17日土曜日

ヒマラヤに火を噴く怪獣現る ~ アッサムの怪獣(ヒマラヤの怪獣)


■ヒマラヤに火を噴く怪獣現る ~ アッサムの怪獣(ヒマラヤの怪獣)

― ヒマラヤに怪獣現る ―


【カルカッタ八日発AFP=共同】
七千万年前に地球を縦横にのし歩いていたと信じられている恐竜(古名ダイノソア)に酷似した怪獣がヒマラヤ山脈の奥地アッサム州北東八十キロ付近に現われ、付近の住民をふるえあがらせているといわれる。

村民の目撃によるとこの怪獣は体長九十フィート(三十メートル)あまり、高さ二十フィートに近い巨体で、口からは火を吐き、地上トカゲを巨大にしたような形をしており足跡は象に似ている。

一月初旬ロンドン・デイリー・ニュース紙に怪獣発見を特電したと報じたが、何の沙汰もない。ヒマラヤのブータン辺境とアッサム州知事は法外な関心を寄せ、遠征隊に必要なる便宜をあたえることに決定したとされている。

――――――――――

今回はヒマラヤの怪獣 (Himalayan Monster)ことアッサムの怪獣(Assam Monster)。

ヒマラヤの奥地に「火を吐く恐竜が現れた」という、あまりにも荒唐無稽な見出しで世界を駆け巡った、1953年の実在の外電ニュースです。

日本では半ば怪談のように扱われがちですが、これは当時、実際にAFP通信によって配信され、複数の海外紙が報じた「公式な騒動」でした。

冒頭の記事は朝日新聞の1953年(昭和28年)8月9日付けの社会面に掲載されたものです。

― 世界を駆け巡った外電怪獣 ―


この怪獣騒動の発信源は、インド・カルカッタから配信されたAFP通信です。

シンガポールの『The Straits Times』、オーストラリア紙『The Age』、イギリスの地方紙などが、ほぼ同時期に「アッサム州ナガ丘陵に体長90フィートの怪物出現」と報じています。

そのため、海外ではナガ丘陵の怪物 (Monster of the Naga Hills)という名で知られている場合もあります。

つまり、日本独自の創作や誇張ではなく、世界が同時に受け取ったニュースだったのです。

― 火を吐く恐竜の正体 ―


目撃談に描かれた怪獣の姿は強烈です。

全長約30メートル。
地上のトカゲを巨大化させたような体躯。
象に似た巨大な足跡。
そして決定的なのが「火と煙を吐く」という描写でした。

海外電では “belching fire and smoke” と表現されており、直訳すれば「火と煙を噴き出す存在」です。

しかし、後の分析では、これは現地部族の言葉でいう「毒気」「激しい呼気」「異臭を伴う噴出」が、英語翻訳の過程で誇張された可能性が高いとされています。

― 映画怪獣との奇妙な一致 ―


日本の新聞に掲載された「怪獣の想像図」。

実はこの画像、同年6月にアメリカで公開された映画『原子怪獣現わる(The Beast from 20,000 Fathoms)』に登場する怪獣リドサウルスRhedosaurus)のスチール写真でした。

映画公開からわずか2か月後。

世界がまだスクリーンの怪獣の余韻に浸っている最中に、ヒマラヤから「火を吐く恐竜」のニュースが届いたのです。

現地での誤認に、映画的イメージが重なったのか。
あるいは新聞社が視覚的インパクトを優先したのか。

現実と虚構の境界が、ここで曖昧に溶け合っているように感じます。

― 当局も動いた「実在の騒動」 ―


この話を単なる「創作」と切り捨てられない理由があります。

当時のアッサム州知事、ジャイラムダス・ダウラトラムは、この怪獣騒動によって部族が耕作を放棄し、地域が混乱していることを重く見ました。

つまり実害があったわけです。

現地行政官による聞き取り調査が実施され、警察や調査隊の派遣まで検討された記録が残っています。

もちろん(?)怪獣は確認されなかったものの、「恐怖そのもの」は確かに存在していたのです。

― そして怪獣は消えた ―


結局、物理的な証拠は一切見つかりませんでした。

30メートル級の生物が実在すれば、森林の破壊痕や大量の食痕が残るはずですが、それは確認されませんでした。

こうして、アッサムの怪獣は数週間で新聞から姿を消します。

残ったのは、世界が一斉に「ヒマラヤにはまだ何かいる」と信じていた、1950年代特有の熱気だけでした。

エベレスト初登頂。
雪男イエティ騒動。
そして、この火を吐く怪獣。

もしかすると、未知への渇望が、恐竜を現代によみがえらせたのかもしれません。

密林の奥で何も見つからなかったという事実よりも、「確かに、あのとき世界は本気で信じた」という点こそが、このアッサムの怪獣の、最も不気味な実体だったのではないでしょうか。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


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