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2026年10月6日火曜日

カバとカメとウシが融合した怪獣 ~ ヒッポタートルオックス


■カバとカメとウシが融合した怪獣 ~ ヒッポタートルオックス

今回はヒッポタートルオックス(Hippoturtleox)。

以前、私はこのUMAをドゥオブジェ湖の怪物として紹介しました。

今回はそのスピンオフ、というよりも少し掘り下げた更新版です。

同じUMAですが、今回はこの生物に付けられた、なんとも奇妙な名前「ヒッポタートルオックス」の方で紹介してみましょう。

カバ、カメ、そしてウシ。

これは英語の「 hippo(カバ)+turtle(カメ)+ox(ウシ)」を組み合わせた名前です。

まるで子どもが思いつきで組み合わせたような名前ですが、実際に伝えられている姿も、それに負けず劣らず奇妙なものです。

― ドゥオブジェ湖 ―


ヒッポタートルオックスの話が知られるようになったきっかけは、1984年9月に報じられた一つのニュースでした。

それによれば、この生物は1972年、チベット高原にあるドゥオブジェ湖(Lake Duobuzhe)で生け捕りにされたといいます。

ところが、このドゥオブジェ湖という名前が曲者です。

現在の地図や地理資料を調べても、この名称に一致する湖を確認することができません。

そこで考えられるのが、「ドゥオブジェ」(Duobuzhe)という名称そのものに誤りがある可能性です。

Duobuzheは、チベット自治区ニマ県周辺の地名である「多布扎」(Duō-bù-zhā/ドゥオブザ)に由来する表記ではないかと考えられています。

つまり、もともとは地域名だった「多布扎」が英語などへ翻訳・転写される過程で、湖の名称と誤認され、「Lake Duobuzhe」という一つの湖名として記録された可能性があるわけです。

もしこれが正しければ、探しているのは「ドゥオブジェ湖」という名前の湖ではなく、多布扎周辺にある実在の湖ということになります。

その候補として挙げられてきたのが、チベット自治区ナクチュ市ニマ県にあるチベット最大級の塩湖、タンラ・ユムコ/タンラ・ユンツォ(当惹雍錯/Tangra Yumco)です。

果たして、この広大な湖こそが「ドゥオブジェ湖」の正体なのでしょうか。

― カバとカメとウシを合わせた姿 ―


それでも伝えられている姿は、かなり具体的です。

胴体はウシのようでありながら、皮膚は厚くしわの寄ったカバを思わせます。

そして四肢は、ウミガメのような幅広いヒレ状だったとされます。

さらに頭部には、短く内側へカールした一対の角があったといいます。

つまり、

カバの皮膚を持ち、カメのような四肢を備え、ウシのような身体に角まで生えた巨大な水棲動物。

これがヒッポタートルオックスです。

もちろん、この名前も学名ではありません。

アメリカの未確認動物学者J・リチャード・グリーンウェル(J. Richard Greenwell)が1986年、国際未知動物学会(ISC)のニュースレターでこの生物を紹介した際に用いた呼称で、Hippo(カバ)、Turtle(カメ)、Ox(ウシ)を組み合わせたものです。

学名のように見えるところが、またややこしいところです。

― 捕獲された怪物はどこへ消えたのか ―


伝承によれば、この生物は1972年に捕獲されたものの、その直後に中国兵によって殺されています。

銃で撃たれ、さらに銃剣で刺されたとも伝えられています。

遺体はその後、近くの村へ運ばれたものの標本として保存された記録はなく、食料として消費された可能性まであります。

もし本当に未知の大型動物だったなら、動物学上は非常に貴重な標本になったはずです。

しかし現実に残ったのは、後世に伝えられた一つの報告だけでした。

写真も標本もなく、正確な捕獲場所すら分からない。

ヒッポタートルオックスは、まるで最初から証拠を残さないように消えてしまった怪物のようです。

― 正体は角を持つ巨大なカメだったのか ―


では、この奇妙な生物はいったい何だったのでしょうか。

伝えられた姿だけを見るなら、大型の水棲カメを思わせる部分があります。

特に気になるのが、頭部にあったという一対の角です。

現生のカメには、このような角を持つ種類は存在しません。

しかし、ここで興味深い動物が登場します。

かつて地球上には、本当に角のある巨大なカメが生息していたのです。

― かつて実在した「角のあるカメ」 ―


その動物がメイオラニア(Meiolania)です。

オーストラリアやニューギニア周辺には、比較的最近までこの仲間が生息していました。

メイオラニア類は大型のカメで、頭部の左右には大きく張り出した角状の突起を持っていました。

現代のカメとはあまりにも違うため、復元された頭部を見ると、むしろ空想上の怪獣に見えてしまいます。

現在は別属として扱われるニンジェミス・オーウェニ(Ninjemys oweni)なども、かつてはメイオラニア属の一種として扱われていました。

つまり、

「角のあるカメ」そのものは、決して人間の想像だけから生まれたものではありません。

実際に存在していたのです。

このことから、イングランドの未確認動物学者カール・シューカー博士は、ヒッポタートルオックスの正体としてメイオラニア類を候補に挙げています。

特にニンジェミス・オーウェニを有力候補としているともいわれます。

もちろん、ここには大きな問題があります。

メイオラニア類は基本的に陸棲のカメであり、ヒッポタートルオックスが伝えられたような水棲生物とは生態が合いません。

また、メイオラニア類がチベットに生息していた証拠もありません。

「角のあるカメ」という外見上の一致は非常に面白いものの、それだけでヒッポタートルオックスの正体とするには無理があります。

― そもそも怪物は実在したのか ―


結局のところ、ヒッポタートルオックスについて確実に分かっていることは驚くほど少ないものです。

1972年にチベットで捕獲されたという話があり、それが1984年に報じられ、1986年にグリーンウェルによって紹介された。

しかし、写真も標本も残っておらず、そもそも「ドゥオブジェ湖」がどこだったのかさえ分かりません。

そのため、この話そのものを疑問視するのも無理はないでしょう。

それでも、カバのような皮膚にカメのような四肢、ウシのような身体、そして頭には角。

しかも、その「角のあるカメ」には、メイオラニアという本物のモデルまで存在していたのです。

偶然にしては妙に出来すぎている。

かといって、これだけでは実在の動物だったとも言えない。

ヒッポタートルオックスは、そんな絶妙なところに引っかかっているUMAです。

もし本当に捕獲されていたのなら、20世紀の動物学史に残る大発見だったはずです。

ところが現在残っているのは、その大発見を裏付ける標本ではなく、

「カバ + カメ + ウシ」

という、あまりにも直球な名前だけです。

それでも、その名前を聞けば、実物を見たことがなくても姿がなんとなく想像できてしまいます。

ヒッポタートルオックス――
実在した証拠はほとんどないのに、名前だけは妙に具体的です。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


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