■日本のUMA本限定か!?~魔獣ガルゴス
ガルゴス◆アマゾンの上流には凶暴な魔獣が確かにいる!
ブラジル政府のインディオ保護局調査員ラミス・ゴヤールは、奇妙な噂を耳にした。彼の勤務地であるアマゾン上流のマットグロッソ地区に、狼男が現れるというのだ。その狼男は、地元のパウ族のあいだで「魔獣ガルゴス」と呼ばれていた。体は全身毛むくじゃら。夜な夜な狼に似た叫び声をあげるという。
そのうえ、ガルゴスは凶暴な性格をしていた。人間を鋭いキバと手でひきちぎり、人肉をむさぼり食う。犠牲者はすでに50人を下らないともいう。
犠牲者まででているので、まんざらでたらめな話ではないだろうと思っていたラミスの公式のもとに、ある日、急報がもたらされた。マディラ河上流の密林に、ガルゴスがでた!というのだ。
ラミスと二人の同僚は、銃を片手に現場に直行した。そして、ガルゴスを見た。噂どおりの姿形をした、”狼男”だったという。しかし、残念なことに、ガルゴスは灰になるまで燃やされてしまった。ラミスたちが銃で殺したとたん、ガルゴスのたたりを恐れて、地元民が焼き尽くしてしまったのだ。”怪獣話”にはなぜかこういうオチが多い。
[出典]「幻のモノ」がハッキリする本(びっくりデータ情報部[編])
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今回は魔獣ガルゴス、スペル的には "Gargos" といったところでしょうか。
ブラジル版狼男といった感じで、いわゆる獣人ですが、ガルゴスが面白いのは、現時点で日本のUMAでしか確認できないところです。
― 謎だらけ ―
魔獣ガルゴスという名前がそもそも海外サイトで見つからない場合、海外の出典元となった一時ソースでは別の名前であったケースが多々あります。
その場合は他のキーワードで探すことになりますが、インディオ保護局調査員ラミス・ゴヤール氏、パウ族、50人の犠牲者、射殺された狼男等々、いずれも「魔獣ガルゴス」に繋がる手掛かりとなりませんでした。
そもそもパウ族に関しては、そういう名の民族すら存在しません。
パウマリ族(Paumari)であれば一応存在します。
しかし仮にパウマリ族をパウ族と短縮・もしくは誤訳したとしても、パウマリ族はアマゾン川の支流、プルス川を拠点としており、マットグロッソ州とは1000キロメートル以上も地理的に離れているため、やはり有力とは言えません。
― ロビゾメン説 ―
ここで注目したいのが、ブラジルの人狼伝承「ロビゾメン(Lobisomem)」です。
ロビゾメンは南米版狼男として代表的な存在であり、広く知られています。
しかし内容は欧州型の狼男像とは本質的に異なります。
― 出生条件という呪縛構造 ―
ブラジルの伝承では、ロビゾメンは感染ではなく出生条件によって決定されます。
最も有名なのは「7人の娘の後に生まれた最初の男の子」、つまり8番目の子が男児だった場合に変身するという設定です。
あるいは「6人の男児の後に生まれた7番目の男児」というバリエーションも語られます。
日本の児童書では、これが「7番目の子供」や「7人兄弟の末っ子」と簡略化・混同されて紹介されました。
数字条件は当時の翻訳・編集段階でかなり混乱していたと考えられます。
感染ではなく血統と出生順による宿命的変異という点で、民俗的な呪縛構造を色濃く持ちます。
― 異形の獣人という外見像 ―
ロビゾメンの外見は、欧州の狼男とは異質です。
細長い顔。
大きな耳。
異様に痩せ細った体躯。
狼というより野犬、豚、ロバに近いと形容されることもあります。
この「痩身で異様な獣人」というビジュアルは、魔獣ガルゴスの描写と奇妙に重なります。
― 日本怪奇出版文化との親和性 ―
日本の怪奇図鑑やUMA本では、ロビゾメンは南米代表の人狼として頻繁に紹介されてきました。
中岡俊哉らの怪奇全集。
学研の妖怪図鑑。
各種UMA大百科。
日本のオカルト出版文化では、「どうすれば怪物になるか」という運命論的条件が好まれました。
そのためロビゾメンの出生条件は強調され、時に誇張され、時に誤訳されました。
― 「ガルゴス」誕生の出版史的仮説 ―
さて、ここから先は個人的な推測ですが、出版史的には十分に現実的です。
ロビゾメンの名称が翻訳過程で変形、誤記、あるいは聞き間違いされた可能性。
当時流行していた怪物名の語感と混ざり、「ガルゴス」という名称が人工的に「生成」された可能性。
さらに、日本の怪奇本特有の創作的味付けにより、犠牲者数や射殺事件が付加された可能性。
こうした編集的増幅は、当時のUMA出版文化では珍しくありません。
ロビゾメンという実在民俗伝承が、日本の出版フィルターを通過することで、「魔獣ガルゴス」という独立怪物に再構成された。
その流れは、極めて日本的UMA生成プロセスらしいと言えるかもしれません。
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