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2025年12月26日金曜日

どこからきてどこへ去っていくのか ~ カリフォルニアグルニオン


■どこからきてどこへ去っていくのか ~ カリフォルニアグルニオン

― 謎の沿岸魚 ―


トウゴロウイワシの仲間で、カリフォルニア州サンタバーバラからメキシコのプンタ・アブレオホスの海岸線にかけてのみ生息する謎の魚、カリフォルニアグルニオン (Leuresthes tenuis)。

(グルニオンは2種おり、もう1種はガルフグルニオン (Leuresthes sardinas))。

名前の響きこそ奇妙ですが、見た目はごくごく普通の魚で、姿もサイズも通常目にするイワシとほとんど変わりません。

― 夜の砂浜の行進 ―



ただ、この魚が非常に珍しいのは習性です。

春から夏にかけて、新月や満月の夜を合図に、グルニオンたちは2~3日の間、大挙して砂浜に「上陸」するのです。

目的は産卵。

ハゼやムツゴロウのような砂浜で活動するのに適した体つきではないのに、このグルニオン、砂浜を体をくねらせて器用に「歩く」のです。

砂浜に上陸したメスは、まるで砂のお風呂に入るかのように頭部だけを砂から出して、体をすっぽり砂に埋めます。

ここに産卵するためです。

オスもまた上陸し、メスが産んだ卵に精子をかけて受精させます。

よって、新月・満月の夜は砂浜がグルニオンで大混雑となるのです。

― 潮のリズムと安全な産卵 ―


なぜ新月・満月を選ぶのか。
この日は大潮の期間中で、満潮時の潮位が最も高くなるタイミングです。

潮位の高い日を狙うことで、より砂浜の高い位置まで上がることができ、卵を安全な場所に産むことができます。

卵は次の大潮が来るまで、少なくとも約2週間、捕食者から守られます。

そして孵化も次の大潮に合わせて起こります。

すべての卵が一度に孵化するわけではなく、残った卵はさらに次の大潮まで待ち、約1か月後に孵化します。

これは自然界が仕組んだ「時間差攻撃」のような戦略でしょう。

― どこから来てどこへ帰るのか ―


不思議なのは、カリフォルニア・グルニオンの起源と行き先です。

これほど大群で上陸するにもかかわらず、カリフォルニアからメキシコ沿岸ではほとんど釣れません。

漁師の網にかかることも稀で、正体は謎のままです。

近年、上陸を狙った捕獲や沿岸開発の影響で、元々少なかった数はさらに減少。

真夜中の砂浜での大行進も、今ではほとんど見られなくなってきています。

このままでは、謎多きグルニオンは謎を残したまま絶滅してしまうかもしれません。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


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