■野に潜む光の蟲 ― 野守虫 (ノモリムシ)
今回はノモリムシ (野守虫)。
山野を歩く人のあいだで、昔から「夜の草むらで光が寄り添うように動く」という妙な目撃談が語り継がれています。
古い民間伝承では、これをノモリムシ (野守虫) と呼んでいました。
一般には妖怪として語られていますが、その背後に「実在の何か」があった可能性も否定できません。
― ノモリムシの光る夜 ―
一説に、妖怪としてのノモリムシは6本の脚、6本の指をもつ、体長が3メートルほどの太い蛇のような姿をしているといわれます。
しかし、あくまで民間伝承に基づくもので、ノモリムシの姿は一様ではありません。
一方で、夜になると淡く発光する小型生物だとする伝承も存在します。
巨大な妖怪像は伝承の脚色とみるべきでしょうが、「光る小獣」の方なら、実在の生物現象とも接点が見えてきます。
― 光とともに動く不可解な影 ―
ノモリムシに関する最古級の記録には「宵闇の草間をほの白く照らしながら何かが走る」と書かれています。
光源そのものが移動しているように見えることから、狐火や鬼火と混同されてきたといいます。
興味深いのは、その光の中心に「小型の生物らしき影があった」とする証言が複数残っていることです。
山村に伝わる一つの話では、「子犬ほどの何かが、青白い燐光をまとって草地を横切った」と語られています。
目撃した老人は「虫のようにも、獣のようにも見えた」と証言しています。
このように、ノモリムシの伝承は単なる妖怪話に留まらず、光を発する未知の生物としてUMA的に描かれる余地があるのです。
夜の森を歩くとき、もし淡い光が草間をかすめるように動くのを目にしたなら、それはノモリムシか、それともまだ知られざるUMAの気配かもしれません。
― 実在生物がモデルだった可能性 ―
伝承が実在の生物に基づくケースは少なくありませんが、ノモリムシの場合もいくつか興味深い候補が挙げられます。
まず、生物発光を行う節足動物の存在です。
生物発光する昆虫、例えばホタルとか、あるいは粘菌や菌類の一部は、夜の山中で光を放つことがあります。
ただしこの場合、「子犬ほどの大きさ」とは大きく矛盾します。
しかし――
ここで注目したいのは粘菌でしょうか。
2024年、鳥取県大山町で、粘菌が発光しているのが確認されたのは記憶に新しいところです。
近年では、発光性の菌糸が動物の体に付着し、生き物が光って見える例も報告されているとか――
もちろん、確実な観察記録はありませんが「なるほど」とも思えます。
たとえばアナグマやタヌキといった「子犬ほどの野生動物」が朽木に付着した発光菌糸や粘菌を体にこすりつけ、そのまま夜道を歩けば、淡い緑色の光をまとったように見えるに違いありません。
もし伝承に出てくるノモリムシが、こういった現象を見た人々の記憶だったとしたら、「光とともに走る何か」という証言と矛盾しません。
― 野に潜む未確認小獣の可能性 ―
それでも、自然現象だけでは説明しきれない証言が残っているのもまた事実。
光の中心に見えたという「虫のような影」「毛のない黒いもの」「四足で走るが異様に細い胴体」等々、その姿の描写はばらばらです。
ですが夜行性の小型獣が発光菌を身に纏い草むらを走り抜けたとすれば、光の筋とともに不可解な影が動くように見える可能性があります。
ノモリムシは「妖怪」として物語に吸収されてしまったため、未確認動物として深く検証されることは今までなかったのでしょう。
しかし、断片的な証言を積み上げていくと、そこには「発光する生物発光現象」と「小型獣」が偶然重なって生まれた、新たな未確認生物像が浮かび上がってきます。
そんな奇跡のコラボから誕生した生物、それこそがノモリムシの正体なのかもしれません──
UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)
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