2025年8月26日火曜日

インドにはコブラよりも遥かに毒の強いトカゲがいるらしい ~ ビス・コブラ


■インドにはコブラよりも毒の強いトカゲがいるらしい ~ ビス・コブラ

人間を除き、最も人間を死に至らしめる生物ランキングの上位はマラリアを媒介するハマダラカ (Anopheles) であったりトリパノソーマを媒介するツェツェバエ (Glossina) やサシガメの仲間 (Triatoma)、それに寄生虫である回虫やサナダムシ等、小柄なもので占められます。

3位にイヌが顔を出しますがそのほとんどは狂犬病ウイルスによるもので直接的な攻撃 (咬傷) によるものはそれほど多くはないでしょう。

つまりは人間にとって危険な生物とは目に見えないウイルスや寄生虫 (を媒介する生物たち) というわけです。

イメージ的に恐ろしいクマやワニ、サメ等は先進国で最も危険な動物たちであることは確かですが世界的に見て事故の絶対数としてはそれほど多くはありません。

そんな中でイメージ的にも現実的にも怖いのが毒ヘビで、年間5~10万人が命を落としており、ランキングでは堂々の2位に君臨します。

毒ヘビは約3000種いるヘビの1/5の600種、そのうち人間を襲うものはさらにその1/3の200種ぐらいといわれています。

(猛毒ランキング最強、ナイリクタイパン)
(image credit by Wikicommons)

最も毒性の強いヘビはオーストラリアに集中しており、ナイリクタイパン (Oxyuranus microlepidotus)、イースタン・ブラウン・スネーク (Pseudonaja textilis)、タイパン (Oxyuranus scutellatus)、ベルチャーウミヘビ (Hydrophis belcheri) 等が挙げられます。

しかし猛毒をもっていても性質が穏和であったり、また人家の近くに棲息していなければそもそも遭遇する機会もないわけで事故が起きることはほとんどありません。

咬傷事故が多いのはインドで、実際に猛毒のヘビも多く、キングコブラ (Ophiophagus hannah)、インドコブラ (Naja naja)、ブラックマンバ (Dendroaspis polylepis)、ラッセルクサリヘビ (Daboia russelii)、インドアマガサヘビ (Bungarus caeruleus)、カーペットバイパー (Echis carinatus) 等々、知名度の高い猛毒ヘビが目白押しです。

さて前置きが長くなってしまいました、今回はそんな名だたるインドの猛毒ヘビたちを凌駕するといわれる猛毒UMA、ビス・コブラ (Bis-Cobra) です。

ビス・コブラとは「毒のコブラ」を意味するといい、その名は猛毒を有するコブラ科の中でも「特に毒性の強いコブラ」であることを示唆します。

しかもその名前に反し、ビス・コブラはコブラの仲間でもなければ、そもそもヘビですらないといいます。

ビス・コブラには四肢があるといい、(四肢の有無でヘビ・トカゲの区別はできないものの) おそらくは猛毒を有するトカゲであるようです。

しかもその毒の使い方もユニークで、咬みつくことで毒牙から毒を注入するのではなく、点滴に向かって毒を吐きかけるといいます。

(リンカルス (ドクハキコブラ))
(image credit by Wikicommons)

毒を飛ばす方法は離れた敵を攻撃できる上、接近戦でないために反撃される恐れがないという大きなメリットはありますが毒の効果に疑問を感じます。

しかしその毒が一滴でも点滴の皮膚に付くやそれで十分だといいます、その一滴で人間であっても死に至らしめるほど毒が強力だといわれているからです。

さて本当にこんな生物がいるのでしょうか?

ビス・コブラは19世紀~20世紀初頭ぐらいにかけて西洋に伝わった生物で、一般的に地元住民たちから聞いた民間伝承であったり、コブラをはじめとする毒ヘビやオオトカゲが誇張されたものという位置付けです。

(ベンガルオオトカゲ)
(image credit by Wikicommons)

特に有力視されているのがインド最大のオオトカゲ、ベンガルオオトカゲ (Varanus bengalensis) であったり、また体は大きくないですがヒガシインドトカゲモドキ (Eublepharis hardwickii) で、いずれも無毒のトカゲです。

しかしアフリカには実際にコブラ科の毒を飛ばすドクハキコブラ (リンカルス, Hemachatus haemachatus) がいますし、また毒ではないですがサバクツノトカゲ (Phrynosoma platyrhinos) のように目から天敵に向かって血液を飛ばすトカゲも存在します。

ビス・コブラはこの両者の特徴のハイブリッド生物 (トカゲで猛毒を飛ばす) であり、毒性については少々疑問ですがまったく荒唐無稽な存在でもなさそうです。





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