このブログを検索

2026年9月8日火曜日

チュパカブラの元祖!?~ ヴァンピロ・デ・モカ(モカの吸血鬼)


■チュパカブラの元祖!?~ エル・ヴァンピロ・デ・モカ(モカの吸血鬼)

今回はヴァンピロ・デ・モカ(El Vampiro de Moca)。

スペイン語で「モカの吸血鬼」を意味する、1975年のプエルトリコを騒がせた吸血系UMAです。

現在ではチュパカブラの前身ともいえる存在として語られていますが、実はこの怪物、チュパカブラという名前が生まれる20年も前からプエルトリコの農村を恐怖に陥れていました。

― 1975年、モカで家畜が次々と殺された ―


事件が始まったのは1975年2月25日。

プエルトリコ北西部のモカ(Moca)、ロチャ地区(Barrio Rocha)で、農家が異様な家畜の死体を発見したことが発端でした。

その数は牛15頭、ヤギ3頭、ガチョウ2羽、そしてブタ1頭。

一晩のうちに、これだけの動物が命を奪われていたのです。

ところが奇妙なのは、その殺され方でした。

通常、大型の肉食動物が家畜を襲えば、逃げ回った痕跡や噛み裂かれた肉、周囲に飛び散った血液などが残ります。

しかし、発見された死体にはそうした激しい抵抗の跡がほとんどなかったとされます。

まるで動物たちは、何が起きたのか理解する暇さえ与えられないまま死んでしまったかのようでした。

― 首に残された「2つの穴」 ―


さらに奇妙だったのが、死体に残された傷です。

首や頭部には、コインほどの大きさをした円形の穿刺痕が2つ、あるいは複数残されていたとされます。

そして、肉や内臓を食べた形跡がほとんどない。

ただ、血液だけが抜き取られている。

この「血だけを奪う」という異様な殺害方法から、地元の人々はやがてこの正体不明の怪物をヴァンピロ・デ・モカ、つまり「モカの吸血鬼」と呼ぶようになりました。

3月7日には、近隣のクルス地区(Barrio Cruz)でも頭部に引っかき傷と奇妙な穴を負った牛の死体が発見され、噂はさらに広がっていきます。

新聞もこの事件を取り上げ、モカ周辺は次第に異様な緊張感に包まれていきました。

― 空を飛ぶ「何か」が目撃された ―


そして、ヴァンピロ・デ・モカを単なる家畜襲撃事件では終わらせなかったのが、奇妙な目撃証言です。

ある住民は、夜中に自宅の屋根へ何かが激しく着地する音を聞きました。

外を確認すると、そこには巨大な鳥のような生物がいたというのです。

その怪物は屋根をつつくような奇妙な動きを見せ、やがて聞いたこともないような金切り声を上げると、夜空へ飛び去ったとされます。

別の農家では、一晩のうちに34羽ものニワトリが血を抜かれて死んでいるのが発見され、その付近で夜空を飛ぶ巨大な影が目撃されたともいいます。

その姿については巨大な鳥、コウモリ、翼のある爬虫類など証言が一定しません。

ただし、後のチュパカブラと比べると「空を飛ぶ怪物」というイメージが目立つのが、ヴァンピロ・デ・モカの大きな特徴です。

― 悪魔か、宇宙から来た怪物か ―


正体が分からない以上、当然のようにさまざまな説が飛び交いました。

特に疑われたのが、サタン崇拝を行う秘密結社です。

家畜を殺して血だけを抜き取るという行為が、悪魔崇拝者による儀式なのではないかという噂でした。

1970年代のアメリカでは、後に「サタニック・パニック」と呼ばれる社会現象につながっていく悪魔崇拝への恐怖が広がりつつあり、プエルトリコでもこうした不安が怪事件と結びついたのでしょう。

そして、もうひとつ人々を熱狂させたのがUFOです。

当時のプエルトリコではUFOの目撃情報も報告されていたため、ヴァンピロ・デ・モカは宇宙人と結びつけられるようになります。

「宇宙人が地球の動物から血液を採取している」

「宇宙人が地球へ放った生物兵器なのではないか」

「宇宙人のペットが逃げ出したのではないか」

そんなSFじみた説まで、まことしやかに囁かれました。

― 先住民の悪霊「ウピア」とのつながり ―


さらに興味深いのが、プエルトリコの先住民タイノ族の伝承との結びつきです。

タイノ族にはウピア(Hupia)と呼ばれる死者の霊、あるいは悪霊の伝承があり、夜になるとコウモリやフクロウなどの姿に変身して人間を襲う存在とも伝えられています。

こうした古い伝承が、1970年代のUFOブームや吸血鬼伝説と混ざり合い、ヴァンピロ・デ・モカという新しい怪物のイメージを作り上げた可能性もあります。

そう考えると、この怪物は突然どこからともなく現れたのではなく、プエルトリコに古くから存在していた「夜の怪異」が、現代的な姿へ変化したものなのかもしれません。

― 半年間で150頭以上、そして突然の終焉 ―


ヴァンピロ・デ・モカの襲撃は、その後も続きました。

伝承や後年の資料によれば、1975年の約半年間で犠牲になった家畜は150頭以上に達したとされます。

ところが、後半になると事件はまるで最初から存在しなかったかのように、突然終わりを迎えました。

怪物は捕獲されていません。

死体も残っていません。

正体も判明していません。

ただ、襲撃だけが消えたのです。

そして、この「突然の終わり」こそが、ヴァンピロ・デ・モカを単なる家畜被害の記録ではなく、UMA伝説として後世に残すことになりました。

― 20年後、名前を変えて帰ってきた? ―


それから20年。

1995年3月、同じプエルトリコで再び奇妙な家畜の大量死が発生します。

そう、みなさんご存じのチュパカブラ(Chupacabra)です。

「ヤギの血を吸うもの」

家畜の身体に奇妙な傷を残し、血を抜き取るというその噂は、瞬く間に島全体へ広がり、やがて中南米、そして北米へと伝播していきます。

もちろん、ヴァンピロ・デ・モカと1995年のチュパカブラには20年という年月の隔たりがあるため、異なる生物、あるいは別の事件と考えるのが自然でしょう。

しかし、モカの古老たちの中には、1995年の事件を知って「あの吸血鬼が戻ってきた」と考える人もいました。

もしそれが事実なら、チュパカブラとは1995年に突然現れた怪物ではなく、20年前に一度姿を消した「何か」に、新しい名前が与えられただけなのかもしれません。

ヴァンピロ・デ・モカが消えてから、ちょうど20年。

そして再び、血を抜かれた家畜の死体が現れた。

単なる偶然と考えることもできます。

ただ、1975年の事件で目撃されたという「空飛ぶ怪物」と、1995年に現れたチュパカブラ。

両者を結びつける確かな証拠はありませんが、完全に無関係だと言い切る材料もまた、残されていないのです。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


(関連記事)


0 件のコメント:

コメントを投稿