■ロッホ・マリーに潜む謎の水棲怪物 ~ ムク=シェルチ
今回はマリー湖の怪物 (Loch Maree monster)、ムク=シェルチ (The Muc-sheilch)。
スコットランド北西部に位置するマリー湖 (Loch Maree) は、スコットランドで4番目に大きく、険しい山々、そして深い森林に囲まれた、とても透明度の高い湖として知られます。
この湖は氷河期の名残とされ、入り江や小島が複雑に点在しています。
昼間でも湖底が深く沈んだ影を作ることがあり、光の反射や波の揺らぎが独特の幻想的な雰囲気を生み出しています。
ケルト人やノルマン人が暮らしたこの地には、今も伝承文化が息づきます。
湖や川には神秘的な生き物の目撃談が絶えず、湖の奥深くに未知の生物が潜んでいるかもしれないという想像を掻き立てます。
ムク=シェルチもその一つ、湖に生息する神秘的な水棲UMAとしてその存在を知られています。
― 湖面に浮かぶ奇妙な影 ―
目撃者の証言によれば、ムク=シェルチは長くしなやかな体を持ち、水面に頭を持ち上げることがあるといいます。
かつて地元の漁師や冒険家たちは、水面に映る巨大な影に驚き、息をのむこともしばしばでした。
19世紀末、ミスター・バンクス・オブ・レターウー (Mr. Banks of Letterewe) なる冒険家が、この湖を干してムク=シェルチを探した、なんて逸話があります。
さらに石灰(quicklime)を用いて捕獲を試みたという大胆な話も伝わります。
しかし結果は失敗に終わりました。
こうした挑戦の歴史が、UMAとしての神秘性をより際立たせています。
― 巨大ウナギか、プレシオサウルスか ―
ムク=シェルチの正体は謎に包まれていますが、いくつかの説があります。
まずは巨大ウナギ説、スコットランドの湖には大きなウナギが生息し、目撃談に合致する可能性があります。
そしてスコットランドといえばネッシー (Loch Ness monster)、そしてネッシーといえばプレシオサウルス。
ムク=シェルチも首の長い爬虫類を彷彿させることから、UMAの正体としてクラシカルなプレシオサウルス生存説を推す声もあります。
また、生物ではなく、波や倒木、光の反射などが正体だとする、現実的ですがあまりロマンを感じられない説もあります。
目撃談は部分的で、体全体を確認したケースはほとんどありません。
しかし、水面に現れるだけで圧倒的な存在感を放つと語られています。
― 神話と現実のはざま ―
かつて人々を驚かせたムク=シェルチも、今では忘れられた存在になりつつあります。
ただの自然現象だったのか――それとも、冒険者たちが語り継ぐ圧倒的な存在感の通り、かつてマリー湖には「なにか」が棲んでいたのでしょうか。
人前から姿を消して久しい現在でさえ、静まり返った湖面を眺めれば、湖底の深みにはまだ何かが潜んでいるかもしれないという想像が湧いてきます。
科学と伝承の境界を揺れ動きながら、ムク=シェルチは今日もUMAファンの心を惹きつけ続けます。
(関連記事)




0 件のコメント:
コメントを投稿