■第二次大戦中、米軍が本気で考えた ~ 秘密兵器「オペレーション・ファンタジア」
「いくらなんでも、日本人をバカにしすぎだろっ!」
第二次世界大戦――
世界が狂気に包まれていたその最中、アメリカは「妖怪」を兵器にしようとしていました。
その名も、オペレーション・ファンタジア (Operation Fantasia)。
目的は、日本人の心に「超自然的な恐怖」を植えつけ、戦意を喪失させること。
つまり――人を倒すかわりに、妖怪で心を折る作戦だったのです。
― 戦時が生んだ「狂気の発想」 ―
この奇妙な計画を立案したのは、CIAの前身、OSS (戦略情報局)。
心理戦を担当していた彼らは、文化的な偏見に基づいてこう信じていました。
「日本人はキツネの妖怪――『妖狐 (ようこ)』を恐れている。」
そこで出てきたのが、ひとりの心理戦専門家の一言です。
「キツネを光らせて放てば、妖怪の呪いと思うだろう」
――それが、悪夢の始まりでした。
― 放射性塗料で染められた命 ―
OSSの科学班は、キツネを捕獲し、体毛に蛍光塗料や、なんと放射性物質を塗布。
暗闇でぼんやりと光る「幽霊狐」を生み出そうとしました。
夜の山村に青白い影が現れたら、人々は恐怖に陥る――
そう信じていたのです。
実際、アメリカ・ワシントンD.C.のロッククリーク公園では、試験的に30匹のキツネが放たれ、夜の散歩者たちを恐怖に陥れたといいます。
しかし、現実は残酷でした。
キツネたちは光に怯え、錯乱し、互いを噛み合いながら暴れ回ります。
やがて放射性塗料は毛皮を蝕み、彼らの命を奪っていきました。
「秘密兵器」は日本人の心を折る前に、それを作ったアメリカ人たちの良心を蝕んでいったのです。
― 文化の誤読が生んだ「怪物」 ―
この作戦の根底にあったのは、日本文化の完全なる誤読、そして傲慢でした。
アメリカの諜報機関は「日本人は妖怪を恐れる」と信じて疑わなかったのです。
しかし、実際の日本ではキツネは恐怖と神聖さ、そして知恵の象徴でもあります。
つまり、彼らは「妖怪」という存在の意味を理解しないまま、科学の力で「恐怖」だけを再現しようとしたのです。
――皮肉にも、その発想こそが「人間が作り出した妖怪」でした。
― そして、作戦は闇に消えた ―
その期待に反し「幽霊狐」を見て驚いたのはロッククリーク公園にいた一握りのアメリカ国民だけでした。
結局、実験は失敗に終わり、戦局も変化。
「光るキツネ作戦」は一度も実行されないまま、資料の山に埋もれていきました。
報告書の最後には、こう記されています。
"This problem of Fantasia has been mercifully completed."
(この問題――ファンタジア作戦は、幸いにも終結した。)
キツネたちは人知れず光を失い、歴史の闇に消えていきました。
(参照サイト)






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