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2026年1月1日木曜日

廃屋に棲む掌の住人たち ~ チェピシュ


■廃屋に棲む掌の住人たち ~ チェピシュ

ロシアの小さな村に、真夜中になると屋根を叩く音が響く。

――トントントン

「風じゃない」「ネズミでもない」

そう人々が口をそろえるとき、その音の正体は、チェピシュ (Chepysh) かもしれません。

― 30センチの「小さな侵入者」 ―


チェピシュは、ロシアのクリーピーパスタ(ネット発の都市伝説・怪談)を発祥とします。

身長はおよそ30センチ、UMAとしてはとてもかわいらしい大きさですね。

姿は人間に似ていますが、どこか歪 (いびつ) で、時にインプ (imp, 小悪魔) のようにも描かれます。

小さいながらも、その存在感は獣人の仲間に数えられるべきでしょう。

彼らの棲み処は、廃屋、納屋、森、そして高い草むら。
特に人気がない村落ではしばしば「夜の住人」として目撃されるそうです。

しかし「自分は都会に住んでいるから」と、油断するのは禁物です。
彼らは都市部にも忍び寄り、その体の小ささを活かして古いアパートや倉庫の割れた窓、網戸の隙間、壁のひびからこっそり侵入してくるからです。

― これがチェピシュが棲んでいる家のサイン ―


あなたの家にチェピシュが居候しているかも?

その兆候はこうです:

・屋根の上で響くかすかなノック音
・夜更けに聞こえる不明瞭な引っ掻く音
・コウモリのような甲高い鳴き声
・暗闇でチカチカ光る赤い点 (彼らの目)

そして――

ペットが妙に落ち着きがない、誰もいない廊下を見つめて怯える。

もしこの中に心当たりがあるなら、許可なしに、あなたの家にはすでに「同居人」が潜んでいるかもしれません。

― 怒らせなければ、害はない? ―


チェピシュは基本的に攻撃的なUMAではありません。
ただし、自分の縄張りを荒らされると――
「人間離れした叫び声」を上げ、近くにある小物(ボルト、ナット、古い靴下など)を投げつけてくるといいます。

つまり、片付け下手の人たちとは相性が悪いUMAともいえるでしょう。
散らかった部屋は彼らにとって、天然の砦なんですから。

きちんと部屋を掃除しておけば、出て行ってくれるかもしれません (保証はできませんが)。

― ネットで広まった「現代の伝承」 ―


この小さな怪物が脚光を浴びたのは、YouTubeチャンネルTraverSa氏による映像がきっかけでした。

そこでは、廃屋の床下を走り抜ける影や、夜の窓際で赤く光る「二つの目」が映し出され、ネット上で大きな話題を呼びました。

その後、ロシアの掲示板やフォーラムでは「祖母の家にも出た」「ペットが夜中に吠える」など、チェピシュの投稿が続出。

しかし同時に、「TraverSaの創作によるものでは?」という冷静な意見も少なくありません。

実際、スラヴ神話にはドモヴォーイ (家の精) やレーシー (森の精霊) といったチェピシュに「酷似した」存在が登場します。

おそらく、この伝承を現代風にリブートしたのがチェピシュの正体なのかもしれません。

― 小さな恐怖と、妙な親しみ ―


興味深いのは、チェピシュの「怖さ」が決してスプラッター的ではないこと。
むしろ彼らは、生活の隙間に棲む「異界の居候」のような存在です。

あなたの家にも、いつの間にか知らない音や影が増えていませんか?
もしそうなら、夜の静寂に耳を澄ませてみてください。

――トントントン

屋根の上から響く音。
風のせいかもしれないし、あるいは?

― ただの都市伝説に過ぎない? ―


チェピシュは、古い民話とネット文化が結びついて生まれた新世代UMA (例えばニンゲンやヒトガタレイク等々) の代表格という見方もできます。

霊でも妖怪でも獣でもない、それでも「確かにそこにいるかもしれない」という絶妙な不確かさと親近感。

彼らは現代の暮らしに、小さな異界の余白を残してくれます。

たぶん今夜も、どこかの廃屋の屋根で、あのちいさなトントントン、という音が鳴っているに違いありません。

けれど、誰もその音の正体を確かめようとはしないでしょう――
だって「それ」を見てしまったら、もう「静かな夜」には戻れませんもの。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


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