■1985年、木製ボートを沈めた巨大ロブスター ~ ニューファンドランド・ジャイアント・ロブスター
1985年、ルイストン・イブニング・ジャーナル紙上に、当時の売れっ子ジャーナリストであったヘンリー・バルチ・イングラム (Henry Balch Ingram) 氏によって信じられないような生物の話が掲載されました。
それはとてつもなく巨大なロブスターです。
イングラム氏が目撃者のひとり、エルマー・ステープルズ (Elmer Staples) 氏に取材しました。
1985年9月、木製の小型ボートで釣りをしていたところ、自分から約100メートル離れた場所で同じく木製ボートで釣りをしていたトム・マッセー (Tom Massey) 氏とリード (Reed) 氏の方から叫び声を聞きました。
驚いて彼らの方に目をやると、まるでボートに誰かが海からよじ登っているかのようにボートは傾き揺れていたといいます。
しかし、実際に何かがよじ登ってきているようでしたが、それは明らかに人間ではないようでした。
それは緑色でヌメヌメとした輝きを放ち、頭部からは長い触角を生やしているのが見えたからです。
リード氏はボートのオールを振り上げその巨大な怪物に打ち付けている間、マッセー氏は振り落とされないよう必死にボートにしがみついているように見えました。
そしてその生物が巨大なロブスターであることが分かりました。
また、事態は思ったよりもひどい状況でした。
よく見るとマッセー氏の右腕はその怪物のはさみでしっかりと捕らえられていたのです。
ステープルズ氏はそのままマッセー氏がロブスターの力に抗えず海に引き込まれるであろうことは容易に想像ができたといいます。
しかし欲張りなロブスターはリード氏をも捕まえようとし、一瞬マッセー氏を放しましたが、マッセー氏はその隙に逃げようとするもリード氏を捕まえ損ねたロブスターは再びマッセー氏の右腕を掴みました。
激痛に悲鳴を上げ、そのままロブスターと共に海へ引きずり込まれるも、彼らの船の近くで釣りをしていた別のものが間一髪間に合い、斧をロブスターに振り下ろすと、ロブスターはマッセー氏を放しなんとか船上へ戻ることに成功しました。
ロブスターは死ぬどころか今度は小野を振り下ろした男にターゲットを変更し、今度は男の船に上ろうとし始めました。
その時大きさがはっきりと確認でき、体長3フィート (約90センチ) ほどもあることが分かりました。
巨大なハサミを振りかざせば人ほどの大きさもあります。
ロブスターが攻撃の矛先を変えたのを見て、リード氏はロブスターの背中に斧を振り下ろし、さらに銛を打ち込もうとしましたが手負いのロブスターはそのまま海中へと没したといいます。
船上に救出されたマッセー氏ですがロブスターの巨大なハサミで挟まれたこと手首は骨折、右腕全体に激しい裂傷を負っており即座の手当を必要としました。
ちなみに今まで捕獲された最大のロブスターは1977年、カナダのノバスコシア州沖で捕獲されたハサミを含めた体長が3.5フィート (約1.1メートル)、体重44ポンド (約20キログラム) の個体で、推定年齢は100歳前後と考えられています。
但し、この推定年齢は低く見積もりすぎという意見もあります。
(ジョージ・ザ・ロブスター)
(image credit: Florida Restaurant Law)
2008年12月に捕獲された巨大ロブスター、通称「ジョージ (George)」は20ポンド (約9キロ) で推定年齢を140歳と見積もられたからです。
さて1885年の巨大ロブスターに話を戻しましょう。
このロブスターの話はどこまで信じられるものなのか?
小型の木製ボートによじ登り、成人男性を海に引きずり込むほどの怪力。
当時この記事を執筆したイングラム氏は非日常的で突飛な話題を好んで取材し記事や著作にしていたといいますが、それなりに信憑性は高いものだったといいます、、、この話を除いては。
19世後半から20世紀初頭にかけて、アメリカの新聞では作家を使ったフィクションともノンフィクションとも判断がつかないモキュメンタリー (ドキュメンタリー風フィクション) が多く書かれており、実はその一つかもしれません。
尚、余談ですが、このロブスターの目撃談を語ってくれた男性、エルマー・ステープルズ氏と1948年に巨大海老シュリンピーを目撃した女性、バージニア・ステープルズ (Virginia Staples) 氏はラストネームが同じなんですね。
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