2025年7月8日火曜日

戦前の奥吉野での怪 ~ 巨大獣と化け物ヒル


■戦前の奥吉野での怪 ~ 巨大獣と化け物ヒル

昭和15年 (1940年)、紀伊半島の奥吉野 (奈良県南部) 一帯で巨大な黒い生物が目撃されいたといいます。

この巨大生物は「動物の四次元」(橋本 僐吉著) に登場しているようですが、持ってないんで「本当にいる世界の未知生物案内」(天野ミチヒロ著) の方を参照していきます。

同書によればこの巨大生物は「幽谷 (ゆうこく) から現れた太古の原始怪獣」と表現され、その怪物の存在により、「村人たちは外へ出て仕事をするのを怯え、女子供は家に閉じこもった」ということです。

戦前の話で古いことは古いものの現在から85年前、昔話になるほど古い話ではありません。

ですが、結構この話は昔話の逸話的な側面があり、なんでも、引退した老猟師、神坂氏なる人物が狩猟犬でもある紀州犬の那智丸を引き連れ、この怪物退治に立ち上がったというのです。

山に踏み入ると噂に違わぬ巨大な怪物が彼の前に立ち塞がりました。

そしてその正体は巨大な「クマ」でした。

後肢で立ち上がると身長は2.7メートル、神坂氏は猟銃で怪物の三県を何度も撃ち抜き倒したといいます。

ここら辺までは (大きさを除けば) 特に英雄伝というほど非現実的ではなく、まぁ、村の漁師の武勇伝ぐらいといったところです。

ここからがなぜかパラノーマルな方向へぶっ飛ぶのですが、倒したクマに「瞬く間に夥 (おびただ) しい数のヤマビル (Haemadipsa zeylanica japonica) が群がりあっという間に萎 (しぼ) んでしまった」というのです。

当然、巨大熊が萎んでしまうのと反比例しヤマビルたちは吸った血液でぱんぱんに膨れ上がります。

すると、2.7メートルの巨大熊を見ても逃げなかった神坂氏と那智丸は一目散に逃げ帰ったといいます。(見ていて気持ち悪いので逃げたくなった、というのであれば分かる気もします)

後日その場に戻ってくると、巨大熊はずたずたに引き裂かれていたといいます。

取り敢えずこれが全ストーリー、詳細に見ていきましょう。

まずは立ち上がった時の身長、2.7メートルについて。

これは「クマ全体としてみれば」全然ありで、ヒグマ (Ursus arctos) 及びその亜種であれば3メートルオーバーも存在するので全然問題ありません。

しかし、本州にはヒグマは棲息しておらず、本州に棲息しているのは (ニホン)ツキノワグマ (rsus thibetanus japonicus) ただ一種です。

ツキノワグマは一般的に大きくても立ち上がった時は1.6メートルを超えることは稀で、怪物級の個体でも2メートルは厳しいでしょう。

まぁ、普段見ていたツキノワグマよりかなり大きくて神坂氏が恐怖でそのように感じてしまったのかもしれませんし、もしかするとちょっと盛って語っただけかもしれません。

むしろ大きさより問題はヤマビルのくだりです。

ヤマビルは見た目よりも移動速度がありますが、それでも1分間で1メートル程度、瞬く間に倒したクマに群がるというのがまず不可能。

あり得るならもうクマを倒す前からその周りはヤマビルが息をひそめて待ち伏せしていた以外にあり得ません。

また次なる問題は、ヤマビルの吸血量は1匹あたり1cc (約1グラム) 程度、頑張っても2ccはいかないでしょう。

身長2.7メートルのクマの体重は最低でも200キロ以上にはなると思われ、ヤマビルの吸血能力でクマが萎んだように見えるほどにするには、どれだけのヤマビルがいればいいのか想像がつきません。

この話、実はむしろヤマビルの方がUMAかもしれません。

(参考文献・参照サイト)
本当にいる「世界の未知生物」案内 (天野ミチヒロ著)




2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様です。
    どこか懐かしい話だと思っていたら、出典の本を子供の頃よく読んでいたことを思い出しました!
    結構胡散臭い話ではありますが、日本の秘境に棲む巨大生物というのがロマンあって好きなエピソードです。
    出典元だと「私が見たのはこれではない…」みたいなB級映画的オチだったのも印象深いです。

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    1. コメントありがとうございます。
      へぇ~その本の持ちだったのですね、昔のUMA本をいろいろ読んでみたいですね。
      なんか今では忘れ去られたようなUMAやインチキくさいものとか知らないようなものも載っていそうです。

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