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2026年10月22日木曜日

国土調査まで中止の事態に ~ 緑山の大蛇(セクション1)


■国土調査まで中止の事態に ~ みどり山の大蛇(セクション1)

― みどり山 ―

こちらは中国山地を背にした岡山県津山市綾部東の開拓地。このほど頭の直径一〇センチ、長さ四メートル以上という大蛇が現われた。

◆真っ黒なカマ首

七月十七日午後二時ごろのこと、綾部東のみどり山開拓農協の本名組合長(五〇)ら五人が約六百メートル東の「みどり山」山ろく加茂川岸で、47・7豪雨で埋まった簡易水道取水口の土砂を除いていた。

突然、本名組合長の実兄、本名さん(五五)が下流の川中を真っ青な顔で指さした。真っ黒な大蛇が、カマ首を持ちあげて泳いでいた。胴回りは直径一〇センチ以上、一升ビンの太さは十分。長さも四メートル以上。急流で対岸に渡れず、みどり山の茂みに消えた。五人は作業もそこそこに逃げ帰った。

みどり山は八月七日まで国土調査のための測量図をつくるよう市から開拓農協が依頼されていたが、大蛇の出現で作業員の集まりはサッパリ。本名組合長が市役所へ「ヘビがおネンネ(冬眠)するまで工事を中止してほしい」と陳情。最初は笑いとばした産業部の草苅善正課長も「それでは課長さん、あんたが陣頭指揮してくれ」といわれて尻ごみ。結局、ヘビが冬眠するまで中止になった。

◆武勇伝の希望者

みどり山開拓地は国鉄因美線高野駅から北東約三キロの丘陵地。昭和二十年に入植、約七五ヘクタールを開墾、現在十七戸、約百人が住んでいる。入植時からみどり山に大蛇が二匹いるといわれ、数年前にも近くの婦人が見つけている。

本名組合長は「私ひとりならみんな信用しないが、他の四人もハッキリ見ている。青大将ではなく黒ヘビだ」と、恐ろしそう。

以来、本名組合長は三日に一度ずつ見回る簡易水道取水口点検も朝晩はやめ、昼間護衛つきの巡回。大蛇がかくれたところは約二ヘクタール、伐採したこともないツタカズラが原生林のように密生し、昼なお暗い。湿地帯が多く、ヘビが住む条件はそろっている。津山署の青年警官らも「三人ほどで生け捕りにしてみせる」と武勇伝の希望者も出るなど、テンヤワンヤ。

(出典:1972年8月20日付『毎日新聞』)

※注:本文の「47.7豪雨」とは「昭和47年(1972年)7月11日から12日にかけて発生した『昭和47年7月豪雨』」のことです。

― みどり山の大蛇 ―


今回はリクエストいただいていた、みどり山(緑山)の大蛇(The Giant Snake of Mt. Midori)。

1972年、岡山県津山市綾部東の「みどり山」と呼ばれる地域に、全長4メートル以上という巨大な黒いヘビが現れました。

みどり山という名前から、深い山奥を想像するかもしれません。

しかし、ここは深い山奥ではありません。標高わずか41メートルの低山(緑山)がある、開拓地に囲まれた地域でした。

つまり、この大蛇が姿を現したのは、人里離れた秘境ではありません。

人々が暮らす開拓地のすぐそばだったのです。

その姿だけを見れば、いかにも昔ながらの「大蛇」の目撃談です。

しかし、記事をよく読むと、少々気になる点があります。

それが、4メートルという全長に対して、直径10センチほどという体の細さです。

― 4メートルのヘビとしては細すぎる? ―


現在の日本で比較的大型になるヘビといえば、アオダイショウ(Elaphe climacophora)が代表的です。

大型の個体では全長2メートル前後に達し、胴の太さも5センチほどになることがあります。(各種図鑑や研究データで公認されている日本の最大記録でも2.5メートルほど。稀に3メートルを超えるという話もありますが、確実な公式記録ではありません)

ちなみに、日本の在来種で最も大きく(長い)ヘビは八重山諸島に生息するサキシマスジオ(Elaphe taeniura schmackeri)といわれ、最大個体になると3メートルぐらいに成長するといわれています。

アオダイショウの話に戻りましょう。

もし、この2メートル・直径5センチという体型を、そのまま相似形で2倍に拡大したとしましょう。

すると全長4メートル、直径10センチ。

奇妙なことに、今回の新聞記事に記された「みどり山の大蛇」の数字とほぼ一致します。

しかし、生物の巨大化は、単純な「コピー&ペースト」ではありません。

いわゆる2乗3乗の法則(スクエア・キューブの法則)では、長さが2倍になると体積、つまり体重は8倍になる一方、筋肉などの断面積は4倍にしかなりません。

そのため、動物は大きくなればなるほど、単純な相似形のまま巨大化することが難しくなります。

ただし、ここで四足動物などの話を、そのままヘビに当てはめることもできません。

ヘビは脚で自分の体重を支える動物ではなく、地面や水面に体を接触させながら、全身をくねらせて移動するからです。

そこで、生物の体型を考える際に使われる「弾性相似(Elastic similarity)」というモデルを、ひとつの目安として当てはめてみます。

これは、自重によって体がたわんだり、変形したりする影響を考えた場合、単純な相似形よりも太い体型が必要になるという考え方です。

理論上、直径をD、長さをLとすると、

D³ ∝ L² (Dの3乗はLの2乗に比例する)

となり、直径は長さの約1.5乗に比例します。

では、2メートル・直径5センチのヘビが4メートルまで巨大化した場合はどうなるでしょうか。

長さが2倍になるので、

5cm × 2¹·⁵ ≒ 14cm

となります。

つまり、単純な相似形なら直径10センチですが、弾性相似のモデルでは約14センチという数字になります。

もっとも、ヘビは四肢動物とは身体の構造も移動方法も異なるため、このモデルをそのまま当てはめることはできません。14センチという数字は、あくまで体型を比較するための目安です。

それでも、目撃証言にある「全長4メートル以上、直径10センチ」という体型は、相対的にかなり細身です。

この大蛇が証言どおりの大きさだったとすれば、特徴的なのは、その巨大さだけでなく、異様なまでに細長い体型だったことです。

そして、この特徴に着目すると、逆にもうひとつ面白い可能性が浮かんできます。


セクション2へ続く。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


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