(image credit: CRYPTO)
■ワラウア湖(ワローワ湖)のもうひとつのUMA ~ ビッグ・ウォーリー
今回はビッグ・ウォーリー(Big Wally)。
ワラウア湖(ワローワ湖)に棲息するUMAであるため、単純にワラウア湖の怪物(Wallowa Lake Monster)と呼ばれることのほうが多いです。
ですが、UMA好きの方々ならご存じのように、ワラウア湖の怪物としては「ワラウア湖の巨大甲殻類」も知られています。
巨大甲殻類タイプと区別するため、今回のUMAはビッグ・ウォーリーと呼び分けることにします。
まぁ、どちらも特段有名なUMAというわけではありませんけどね。
では、まずワラウア湖/ワローワ湖(Wallowa Lake)を簡単に紹介します。
ワラウア湖はアメリカ・オレゴン州にある淡水湖で、最大長5.6キロメートル、最大幅1.2キロメートルという細長い形状をしています。
表面積は6.1平方キロメートルほどと、それほど大きくはありませんが、平均水深50メートル、最大水深90メートルと、表面積から受ける印象よりは割と深い湖です。
この湖は、かつて氷河によって形成された氷河湖でもあります。
周囲には氷河が運んできた土砂が堆積してできたモレーン(氷河堆積物の堤)が残り、氷河時代の地形を今に伝えています。
標高1300メートルという高地にあることもこの湖の特徴のひとつであり、山々に囲まれた絶景が広がります。
さて、それでは今回の主役、ビッグ・ウォーリーを見ていきましょう。
― 先住民族に伝わる湖の魔物 ―
多くのアメリカのレイク・モンスターがそうであるように、ワラウア湖の怪物、ビッグ・ウォーリーも先住民族の伝承に登場します。
ビッグ・ウォーリー(当時はもちろんそう呼ばれていません)は、先住民族ネズ・パース族(ネ・ペルセ族)の伝承に登場する生物です。
伝承のビッグ・ウォーリーは巨大なヘビであり、UMA的にいえばレイク・サーペントということになります。
ただし、伝承上では「人喰いの湖の魔物」といった存在で、やはり架空の生物という印象は否めません。
では、この怪物が実在する生物として語られるようになったのは、いつ頃からなのでしょうか。
現在確認されている最古の記録は、ワラウア郡の地方紙ワラウア・カウンティ・チーフテン(Wallowa County Chieftain)に掲載された、1885年11月5日付けの記事です。(同紙はその前年、1884年に創刊されたばかりでした)
― 80フィートの巨大な怪物 ―
(image credit: PetarM / CC BY-SA 3.0 / Cropped)
これが驚いたことに、ネズ・パース族の伝承に登場する怪物そのものなのです。
体長は80フィート(約24メートル)もある大蛇のようなシルエット。直径が人間の胴体ほどもある太く長い首を持ち、その先端にはカバに似た非常に大きな頭部がありました。
目撃したのは、ボートに乗っていた匿名の炭鉱夫です。
男性はボートの右側約50メートルのところに、水面から10フィート(約3メートル)も頭部を出し、長い首を弓なりに曲げている怪物を目撃しました。
怪物はいったん水中に没しましたが、しばらくすると今度はボートの反対側に現れました。
男性はビッグ・ウォーリーに襲われることはありませんでしたが、怪物はボートに興味を持ったのか、しばらくボート周辺をうろつき、やがて姿をくらませたといいます。
さすがに80フィートというのは大き過ぎる感もあります。
また、19世紀末から20世紀初頭にかけては、地方紙が怪物ネタを量産していた時期でもあることを考えると、少々怪しい記事ではあります。
前述した通り、ワラウア・カウンティ・チーフテンは創刊間もなかったこともあり、読者を一発で食い付かせる記事が必要だったとも解釈できます。
ですが、ビッグ・ウォーリー騒動は新聞記事だけで終わることはありませんでした。
その後もビッグ・ウォーリーの目撃は続き、1980年代までは散発的に報告されてきたのです。
体長は小さいもので8フィート(約2.4メートル)、大きなもので20フィート(約6メートル)と、最初期の目撃よりもかなり小さくなりました。とはいえ、こちらのほうが現実的なサイズであり、正体を考えるうえでも興味深いところです。
― 正体は巨大なチョウザメ? ―
(シロチョウザメ)
(image credit: Macrophyseter / CC BY-SA 4.0 / Cropped)
ワラウア湖に棲息する魚類は、レイクトラウト(Salvelinus namaycush)やヒメマス(Oncorhynchus nerka)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、カワマス(Salvelinus fontinalis)といったサケ科が多いのが特徴です。
彼らも大きくなる魚ではありますが、さすがに怪物級とはいえません。
もっとも、正体として考えられるのはチョウザメの誤認です。ただし、現在のワラウア湖にチョウザメは棲息していないといいます。
ところが、調べてみたところ、少なくとも19世紀末まではシロチョウザメ(Acipenser transmontanus)がワラウア湖に遡上した記録があるようです。
水面から体をもたげることはできませんが、全長20フィート(約6メートル)を超える個体も存在するシロチョウザメは、それだけで十分に怪物じみた魚です。
かつてこの湖に遡上していたのなら、ビッグ・ウォーリー伝説のモデルになったとしても決して不思議ではありません。
― 黒い瘤が連なる怪物 ―
なお、「謎の動物の百科」(今泉忠明著)に登場する、1982年6月30日にM・クランマー夫人が目撃したという「ワロワ湖の黒瘤怪獣(くろこぶかいじゅう)」も、ビッグ・ウォーリーを指しているかもしれません。
夫人が目撃したのは、黒い巨大な瘤が7つ、ひとつずつ水面に現れ、ゆっくりと移動していく奇妙な光景でした。
それぞれが独立した生物のようにも見えますが、夫人はこれを10分にわたって観察したといいます。水面に黒い瘤だけが連なって進んでいく姿は、なかなか不気味なものです。
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