■グリーンランドにもUMAはいる ~ ワルラス・ドッグ
今回はワルラス・ドッグ(Walrus Dog)。
この奇妙なUMAは、グリーンランドやベーリング海峡沿岸に暮らすイヌイットの伝承に登場する怪物です。
現地では「アズ・イ・ウー・ガム・キ・ムフ・ティ(Az-I-Wu-Gum-Ki-Mukh-'Ti)」とも呼ばれ、英語圏では一般的にワルラス・ドッグに加えアジウグム(Aziwugum)とも呼ばれることの多いUMAです。
― 氷に閉ざされた巨大な島 ―
日本の約6倍(約5.7倍)の面積を持つデンマーク領グリーンランドですが、その国土の約8割以上は氷床に覆われており、人が暮らせるのは一部の沿岸地域に限られます。
その広大な面積に対して人口は約5万7千人ほどしかおらず、人口密度は約0.028人/平方キロメートルという世界有数の低さです。
氷床と万年雪に覆われた未開の地が広がることを考えると、未知のUMAが生息していても不思議ではありません。
一方で、ここまで人が少ないと、仮にUMAが存在していても、それを目撃する人自体がほとんどいないという皮肉な問題もあります。
― 2種類のワルラス・ドッグ ―
ワルラス(Walrus)とはセイウチのことです。
そのため、「ワルラス・ドッグ」と聞けば、多くの人はセイウチとイヌが融合したような姿を思い浮かべるでしょう。
実は、そのイメージは半分正解です。
というのも、ワルラス・ドッグには大きく分けて2つのタイプが伝えられているからです。
(セイウチ)
(image credit : Wikicommons)
1つ目は、その名の通りセイウチとイヌを掛け合わせたような姿をしています。
全体のシルエットはセイウチに近く、大きさもオスのセイウチほどですが、頭部や前肢にはイヌの特徴が色濃く現れ、セイウチのような長い牙を備えているといいます。
もう1つは、セイウチらしさがほとんど見られないタイプです。
こちらはセイウチよりもさらに巨大で、細長いイヌのような体型をしており、異様に長い尾を持っています。
さらに全身は黒い鱗に覆われるなど、爬虫類を思わせる特徴まで備えているといわれています。
― セイウチを守る謎の守護獣 ―
前者はともかく、後者は「なぜセイウチ犬なのか」と疑問に思うでしょう。
その理由は、この生物の行動にあります。
後者のワルラス・ドッグは非常に獰猛で、アザラシなどのセイウチと同じ鰭脚類(ききゃくるい)を襲って捕食するといわれています。
しかし、不思議なことにセイウチだけは決して襲いません。
それどころか、セイウチを守る守護獣のような存在として語られています。
セイウチの天敵であるシャチやホッキョクグマが近づくと、ワルラス・ドッグは太い尾を地面へ激しく叩きつけ、鳴き声を上げて危険を知らせるといわれています。
このように特定の動物を守護する存在は、グリーンランドにほど近いアイスランドの伝承に登場するハリバット・マザー(Halibut Mother)やサーモン・マザー(Salmon Mother)にも共通して見られます。
前者はオヒョウをはじめとする特にカレイ科の魚類を、後者はサケを守護する存在として知られています。
― 正体を考えると ―
ワルラス・ドッグの正体を考えると、もっとも現実的なのは、巨大なセイウチの誤認でしょう。
セイウチは哺乳類であり、犬に似ているとは言い難いものの、頭部には共通する哺乳類らしい特徴があります。
特に極端に大きな個体を遠目から目撃した場合、奇妙な姿の生物として語られた可能性は十分考えられます。
もうひとつの候補を挙げるなら、未知の巨大な鰭脚類です。
グリーンランド周辺は現在でも人の立ち入りが限られる海域が数多く残されており、イヌイットの伝承に息づくワルラス・ドッグもまた、そうした極北の大自然が生み出したロマンあふれるUMAの1つなのかもしれません。



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モンスターハンターのガムートみたいなUMAですね…
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