■未明に目撃された奇妙な生物 ~ ミシガン・チュパカブラ(セクション2)
セクション1の続き。
― 闇に紛れた「異邦の跳躍者」 ―
(アカクビワラビー)
(image credit: Grendelkhan / CC BY-SA 4.0 / Cropped)
では、この怪物の正体が現生動物の誤認だったとしたら、彼は一体何を見たのでしょうか。
その大きなヒントは、目撃者が語った「カンガルーを思わせる体型」と「ウサギのような跳躍」にありそうです。
実は、北米やイギリスでは、個人宅や私設動物園から脱走したペットのワラビー(Notamacropus spp.)が、目撃される例が後を絶ちません。(多くはアカクビワラビー(Macropus rufogriseus))
立ち上がれば1メートル弱になるサイズ感、大きな耳、そして長い尾。もし夜間の暗闇の中、車のハイビームがワラビーの目に直撃すれば、その目は巨大な赤色に怪しく輝きます。
驚いたワラビーが、音もなくブッシュへと跳ねて消えていく様は、予備知識のない目撃者の目に「異形の怪物」として映るには十分すぎる条件を備えているといえます。
― 悪疫が変貌させた「器用な手」 ―
可能性として、現地で最も一般的な野生動物のひとつであるアライグマ(Procyon lotor)も挙げられます。
衣服を脱ぐように全身の毛が抜け落ちる皮膚病「疥癬(かいせん)」に罹患したアライグマは、時に別の生物に見えるほど奇怪な姿となります。
彼らは極めて器用な前足を持ち、人間のように両手を使ってゴミ箱を漁ります。
また、アライグマの前足は通常5本指ですが、皮膚のたるみや、掴み方の角度、あるいは奇形(多指症)の個体であった場合、目撃者の目には「6本の指を持つ怪物の腕」として焼き付いたのかもしれません。
飢えに苦しみ、夜の底で必死にゴミを貪る、毛のない灰色の獣。その執念が生んだシルエットが、チュパカブラの影と重なったという解釈も十分に成り立ちます。
― 北米唯一の有袋類という盲点 ―
(射殺された14.2ポンドの巨大オポッサム)
(image credit: Outdoor News)
あるいは、ミシガン州の身近な野生動物の中に、その答えが潜んでいるかもしれません。
北米に生息する唯一の在来有袋類――個人的にはキタオポッサム(Didelphis virginiana)を推したいところです。
彼らはまさに「尖った顔」「ネズミのような長い尾」「丸い耳」を持ち、夜間にゴミを漁る習性があります。
通常はイエネコほどのサイズですが、なかには体重14.2ポンド(約6.4kg)にも達する規格外の個体もいます。
2021年にはミネソタ州で、鶏小屋を荒らしていた巨大なキタオポッサムが射殺され、その大きさが話題になりました。頭から尾までの長さも最大で1メートル前後に達すると推測されています。
カンガルーのような下半身という特徴も、同じ有袋類としての骨格的な共通性が、目撃者にそうした印象を与えた可能性があります。
実はオポッサムの後ろ足の親指は、人間の親指のように他の指と向かい合う「対向性」の構造をしており、木を掴むために大きく横に開いています。
そのため、後ろ足で踏ん張って立ち上がったときのシルエットや地面の足跡は、通常の四足歩行の獣(犬や猫)とは異なり、どこか不自然で奇妙なものに映ります。
夜の闇で見せるその異質な佇まいこそが、チュパカブラの影と重なったという解釈も十分に成り立ちます。
― 未明の道路に現れた怪物 ―
なぜ2008年のミシガン州に、そのような生物が現れたのでしょうか。
あるいは、そもそも男性が見たものは本当にチュパカブラだったのでしょうか。
ただ、午前4時40分。
誰もいない道路。
ゴミ箱の前に立つ灰色の怪物。
赤く輝く巨大な目で車内を数秒間見つめたあと、ウサギのように跳ねながら音もなく森へ消えていった――。
この異様な目撃談が事実だったとすれば、ミシガン・チュパカブラは、北米で語られる「犬のようなチュパカブラ」とは一線を画す、極めて奇妙な個体だったことになります。
(参照サイト)
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