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2026年10月27日火曜日

【未解決事件】タマム・シュッド事件 ~ ソマートン・マン(セクション2)


■74年間、誰も正体を知らなかった男 ~ ソマートン・マン(セクション2)

セクション1の続き。

― 看護師の動揺 ―


女性の名前はジェシカ・トムソン(Jessica Thomson)。

事件当時、彼女は看護師として働いていました。

警察は彼女にサマートン・マンの写真を見せます。

しかし彼女は、男を知らないと答えました。

ところが、警察が男の顔を再現した石膏製のデスマスクを見せた時。

彼女の反応が変わります。

男の顔を見た瞬間、彼女は強い動揺を示したといわれています。

そして、二度とそのマスクを見ようとはしなかったと。

なぜ、そこまで動揺したのか。

この不可解な反応は、後世の研究者や事件を追う人々の関心を引き続けることになります。

さらに奇妙だったのは、ジェシカ・トムソンと『ルバイヤート』との関係です。

彼女はかつて、この本を所有していました。

そして1945年頃、アルフ・ボクソール(Alf Boxall)という陸軍中尉に同じ本を渡していたことが分かっています。

しかし、後に発見されたボクソールの本には、最後の「Tamám Shud」のページがそのまま残っていました。

つまり、サマートン・マンの紙片は、ジェシカがボクソールに渡した本から切り取られたものではなかったのです。

そして後年、さらに奇妙な一致が発見されます。

ジェシカの息子ロビン(Robin)。

彼の耳の形には、サマートン・マンと非常によく似た特徴がありました。

さらに、上側の前歯2本が先天的に欠損しているという特徴まで一致していたのです。

この2つの特徴は、どちらも一般的なものではありません。

そこから、

「ロビンはサマートン・マンの息子なのではないか」

という疑惑が生まれました。

もしそうなら、サマートン・マンはジェシカの恋人だったのか。

ロビンは彼の隠し子だったのか。

そして、ジェシカは男の正体を知っていたのか。

事件は一気に、スパイ事件から男女関係をめぐる奇妙な物語へ変わっていきます。

さらに、この話には現実とは思えないような後日談があります。

この仮説を調査していたアデレード大学のデレク・アボット教授は、ロビンの娘レイチェル・イーガン(Rachel Egan)と接触。

その後、2人は結婚しました。

アボット教授自身が、この事件を追う過程で「サマートン・マンの孫かもしれない女性」と家族になったわけです。

まるで小説の設定です。

しかし、ここから物語はさらに現実的な方向へ進んでいきます。

― 74年目の現実 ―


2000年代以降、この事件を本格的に再調査した人物の一人が、デレク・アボット(Derek Abbott)教授でした。

彼が注目したのは、古い写真だけではありません。

事件当時に作られた、サマートン・マンの石膏製デスマスク。

そこには、数十年を経てもなお、数本の毛髪が残されていました。

2017年、アボット教授はデスマスクからDNAを抽出できる可能性のある毛髪を発見します。

2018年には、その毛髪からミトコンドリアDNAの解析が行われ、ヨーロッパ人の約1%に見られるハプログループに属することが確認されました。

しかし、これだけでは名前までは分かりません。

そこで登場したのが、遺伝子系譜学でした。

DNAの一致から遠い親族を探し出し、そこから家系図を逆算していく。

それは、70年以上前に身元を消された死者を、現代のDNAデータから少しずつ生きた人間の世界へ戻していく作業でした。

そして2022年。

アボット教授と法医学系譜学者コリーン・フィッツパトリック(Colleen Fitzpatrick)は、サマートン・マンの正体として一人の男性の名前を発表します。

カール・チャールズ・ウェッブ(Carl "Charles" Webb)。

1905年11月16日生まれ。

メルボルン近郊フッツクレー出身。

電気技師であり、計器製作者だった男性です。

DNAから父方、母方それぞれの遠縁の親族を辿っていくと、ウェッブという人物へと繋がっていった。

しかも、ウェッブには1947年以降の行方を示す明確な記録がありませんでした。

そして、彼がその後に死亡したことを示す記録も見つかりません。

「消えた男」

その条件が、サマートン・マンと重なったのです。

さらに、後に発見された写真とサマートン・マンの顔立ちも一致しました。

アボット教授は、未知の一卵性双生児でも存在しない限り、合理的な疑いを差し挟む余地はほとんどないという趣旨の見解を示しています。

もちろん、ここには一つ注意点があります。

2022年の段階で、南オーストラリア州警察はこの身元特定を正式に確定したわけではありません。

法的な意味での最終判断は、研究者の発表とは別の手続きになります。

しかし、事件を記事として扱うなら、

「カール・ウェッブという説がある」

という程度に弱めてしまうのも、現在の状況とは少し違います。

現代の科学捜査と遺伝子系譜学によって、

「サマートン・マン = カール・チャールズ・ウェッブ」

という結論は、極めて強く支持されています。

ただ、公式記録の上では、まだ最後のページが開かれたままなのです。

そして、ここからが、この事件で一番興味深いところです。

ウェッブという男の人生を調べると、あの不可解な文字列まで別の姿を見せ始めます。

セクション3へ続く。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


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