2026年7月3日金曜日

【日本限定】戦乱の平原に立ち上がった奇獣 ~ ペシャク・パラング


■【日本限定】戦乱の平原に立ち上がった奇獣 ~ ペシャクパラング

今回はペシャク・パラング(Peshak Palang/گربه پلنگ)。

ダリー語でペシャクは「ネコ」、パラングは「ヒョウ」を意味するこの名は、現地では、本来ベンガルヤマネコPrionailurus bengalensis)を指す一般的な呼称です。

しかし2002~2003年頃、アフガニスタンの首都カブールの北に位置するショマリ平原(Shomali Plain)で、この名は「未知の怪獣」を意味する恐怖の呼称へと変貌しました。

― 日本にしか詳細が残らないUMA ―


この事件は奇妙な伝播経路をたどっています。

現地で死骸を撮影したのは日本人ジャーナリスト安田氏。

その情報を受け、2007年5月25日から6月4日にかけて現地調査を行ったのがノンフィクション作家・高野秀行氏でした。

つまり、アフガニスタン以外でこの怪物の詳細が語られているのは、ほぼ日本のみという極めて特異なUMAなのです。

― キツネか、犬か、幼いライオンか ―


目撃証言は一貫していません。

キツネのようでもあり、犬のようでもあり、ネコ、あるいはライオンの幼獣にも似ていたといいます。

小型ながら吻(鼻先)は長く、口を開けば鋭い歯列がのぞき、前肢には硬質な鉤爪。

尾は長く、しなやかで、砂塵の上に細い線を引くように揺れていたと語られます。

通常は四足歩行。

しかし興奮すると後肢と尾で体を支え、背を弓なりに丸めて直立する。

その姿は「闘うために立ち上がった獣」だったと証言されています。

咬傷による被害は40人以上。

1~2名の死者が出たともいわれ、ショマリ平原は一時騒然となりました。

― モスク前の直立怪物 ―


2002年10~11月のある夜。

モスクで祈っていたアジズという男性が「ペシャク・パラングだ!」という叫び声を聞き外へ出ると、50~60人の群衆の視線の先に奇妙な獣がいました。

犬とネコを混ぜたような体躯。

尾と後肢で立ち上がり、背を丸めて威嚇。

ざわめきが膨れ上がると、怪物は跳躍し、闇へと消えたといいます。

同年、夜間パトロール中の警察官が約1キロ離れた地点でその獣を発見し発砲。

翌朝、近くの家の軒先に「ライオンの幼獣に似た死骸」が吊るされているのが見つかりました。

警察は昨夜撃った個体だと判断し埋葬。

のちに安田氏の提案で掘り起こし、写真を撮影しています。

乾いた皮膚、細長い口吻、まだ幼さを残す体躯。

それは確かに「何か」でした。

― 生物か、誤認か、あるいは恐怖の産物か ―


高野氏の現地調査によれば、ペシャク・パラングは単一種を指す言葉ではありませんでした。

騒動の正体は、狂犬病に感染したイヌ科動物、あるいは大型のマングースである可能性が高いと結論づけられています。

実際、尾を支えに立ち上がる威嚇姿勢はマングース類に見られる動作です。

しかしその正体がいずれにしても、「40人以上が襲われた」とされる規模に対し、死者が1~2名にとどまったという数字には、拭いきれない違和感が残ります。

狂犬病は発症すれば致死率ほぼ100%。当時の壊滅的な医療体制下で、40名全員が迅速にワクチンを接種できたとは考えにくく、犯人がすべて狂犬病個体であったなら、ショマリ平原は文字通りの地獄と化していたはずです。

ここに、この怪物の正体を解く鍵があります。

実際に起きた数件の咬傷事件が、人々の恐怖心と米軍への不信感という触媒を得て、ひとつの巨大な「ペシャク・パラング伝説」へと増殖していったのではないでしょうか。

一方で現地では「米軍が夜間に怪物を放った」という噂も囁かれていました。

つまりは陰謀論。

米軍によって秘密裏に遺伝子操作された生物、それこそがペシャク・パラングだという説です。

戦乱という極限状態のなか、不安と疑念は容易に形を持ちます。

銃声、夜の遠吠え、正体不明の影。

それらが結びついたとき、ひとつの獣は怪獣へと昇格するのです。

ペシャク・パラング。

それは未知の新種だったのかもしれません。

あるいは、戦争が生んだ集合的幻影だったのかもしれません。

乾いたショマリ平原の夜風のなかで立ち上がったその影は、いまも生物学と噂話の境界線に、静かに佇んでいるように思えます。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


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