■確実に存在するが未発見の謎の鯨 ~ 52ヘルツのクジラ(52ヘルツの鯨)
今回は「52ヘルツのクジラ(52-hertz whale)」。
UMAには怪物的な存在が多い中、このUMAは非常に現実的な存在です。
アメリカの海洋研究施設、ウッズホール海洋研究所、通称WHOI(Woods Hole Oceanographic Institution)によって「発見」されたクジラです。
もっとも、発見されたといっても、その姿は確認されていません。
― 52ヘルツという異常な声 ―
奇妙な名前ですが、これはこのクジラの鳴き声の周波数が「52ヘルツ」であることに由来しています。
つまり、「52ヘルツの鳴き声を持つクジラ」という意味です。
その存在が確認されたのは1989年。
さらに、その回遊パターンも追跡されており、シロナガスクジラ(Balaenoptera musculus)やナガスクジラ(Balaenoptera physalus)と似通っていることも判明しています。
(ナガスクジラの骨格標本)
(image credit: Wikicommons)
しかし、シロナガスクジラやナガスクジラの鳴き声は、それぞれ10~39ヘルツ、20ヘルツ程度。
52ヘルツという数値は明らかに異質です。
しかも、鳴き声の「パターン」そのものも既知種とは一致しません。
つまり、この個体は既知の大型クジラと似た行動を取りながら、まったく別の声で鳴いているのです。
― 確実に存在する未確認生物 ―
とはいえ、その存在自体は極めて確実です。
1989年以降、現在に至るまで、WHOI以外の研究機関によっても継続的に確認されています。
クジラであること。
そして大型のオス個体であること。
そこまでは分かっているものの、肝心の姿はいまだ確認されていません。
そのため、この生物は現在でも「52ヘルツのクジラ」とだけ呼ばれています。
― 正体は突然変異か? ―
もちろん、1989年当時、このクジラが何歳だったのかは不明です。
しかし、シロナガスクジラやナガスクジラは平均寿命が非常に長く、100年前後、場合によっては120年近く生きることもあります。
もしこの個体が、シロナガスクジラやナガスクジラ、あるいはそのハイブリッド的な突然変異個体だったとしても、病死や事故、捕鯨などがなければ、今後も長期間観測され続ける可能性があります。
もっとも興味深いのは、その「孤独性」です。
― 世界でもっとも孤独なクジラ ―
52ヘルツのクジラは、他のクジラたちとは異なる周波数、異なる鳴き方をしています。
そのため、他個体と正常なコミュニケーションを取れないのではないか、と考えられています。
このことから、彼は「世界でもっとも孤独なクジラ(The loneliest whale in the world)」とも呼ばれています。
(アルビノのザトウクジラ、ミガルー (Migaloo))
(image credit: Wikipedia/Jonas Liebschner)
ただし、完全に孤立しているとは限りません。
シロナガスクジラ、ナガスクジラ、さらにはザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)たちも、少なくとも彼の声自体は聞き取れている可能性が高いと考えられています。
つまり、「聞こえてはいるが、何を言っているのか分からない」という状態かもしれません。
人間で例えるなら、周囲よりやや高い声で、誰も知らない外国語を話している人物――そんなイメージでしょうか。
アメリカ、テキサスA&M大学ガルベストン校の准教授は、この存在について次のように語っています。
「問題は、他のクジラたちが52ヘルツの鳴き声をどう認識しているかです。
彼らにとって、その声はいったい何を意味するのでしょう。
あまりにも奇妙で、まったく理解できないものかもしれません。
あるいは、自分たちのシグナルと少しだけズレているだけで、ある程度は理解しているのかもしれません」
― 本当に孤独なのか? ―
もっとも、「世界でもっとも孤独なクジラ」というニックネームは、人間側の感傷がかなり含まれています。
近年では、同じような周波数――つまり52ヘルツ帯で鳴く別個体が存在する可能性も示唆されています。
もしそうなら、彼は決して孤独ではなかったのかもしれません。
人類がまだ知らないだけで、広大な海のどこかには、同じ声で呼び合う仲間たちがいるのかもしれませんね。
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52ヘルツはどれくらいの高さなんですか?
返信削除もの凄い低い音です。人間の可聴域は20ヘルツ~なので、一応理論的には聞き取れるのかな?分かりません。でもそれぐらい低い音です。
削除なるほど。
返信削除人間にとってはとても低い音だけど、クジラにとってはとても高い音なんですね。勉強になりました。